【散文詩】夢の残響
Spica|言葉を編む
【散文詩】夢のかたち──向日葵畑にて
夢をみた。
形を変えて──時々、現れる。
私は、延々と、花の枯れた畑に水を撒いている。花はうつむき、葉は枯れている。
俯いた花に、かすかに黄色が見えた。
それで、かろうじてヒマワリとわかった。
ヒマワリ、この向日葵はきっと彼女の象徴だ。
太陽に向かって咲く向日葵のように。
彼女は、ただ眩しかった。
快活で、笑顔の素敵な女性だった。
私の憧れであり、かつて妻と呼んだ。
彼女に、何度か私は向日葵の花束を贈った。
もう咲かない。
枯れてしまったヒマワリだと、わかっている。
それでも、夢の中で、私は今日も水を撒いている。
咲かないと知りながら。
時々夢をみる。
過去の痛みの浄化のためか、或いは、まだ残る未練なのだろうか。
しばらく胸が押されるような鈍い痛みが残る。そして、時間を置いて、いつものように消えて行くだろう。
もう、痛みの時だけになった。
彼女の事を思い出すのは。
この先も、ずっと、続くのだろう。
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