海、生命が産まれて帰るところ
あ〜ちゃん
海
僕の母ちゃんは海女さんだった。
笑顔の優しいどんぐりみたいな目をしていた。笑うと眉尻をたらし、よく「あらあら〜」といっていた。特に何かに対して怒ることもなく、淡々と漁に出て家に帰って来るの毎日を過ごしていた。
しかし、一度だけ激しく怒られたことがあった。それはお盆の期間が終わり、僕が夕方ひとりで海で泳いだ後、家に帰ってきてからだった。
母ちゃんは泣きながら僕を怒った。あんな母ちゃんははじめてだった。お盆が終わった後の海は怖いところで子どもがひとりで行っては駄目らしい。水の事故に遭うから。水の事故は神様が子どもをさらっているらしい。そんなことを母ちゃんは言っていた。僕はそれを聞いて怖くなった。
それ以来、僕はひとりで海へ行っていない。
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