第6話:青年、神懸りとなりて駆ける事。

「チッ……!」


 猩々しょうじょうの奴が、強く舌打ちをして叫んだ。


「なぁ、おい、三浦さんよ! だから俺は言ったじゃねぇか! この儀式は失敗するってよぉ!」


 激しい揺れに襲われる部屋の中、猩々しょうじょうはメガネの胸ぐらを掴んで恫喝どうかつした。しかしへたり込んでいたメガネは、動じることもなく言ってのける。


「黙りなさい。これは何も失敗ではありません」


 そしてメガネは、理性の線が切れてしまったかのようにけたたましく笑う。猩々しょうじょうはその混乱を、どう収拾つけるか図りかねているように見えた。


 俺はそれを、天井付近へ浮かびながら見ているところだった。なんかこれ、見た覚えがあるなと他人事のように考えると、人が死んで魂が抜け出た時にこんな風に俯瞰ふかんで死ぬ時の光景を見るんじゃなかったかと思い至る。


 確か俺は、今の猩々しょうじょうとメガネの台詞を、ベッドの上で意識が消える寸前に聞いたような気がする。ということは時間にして数秒、俺は過去にさかのぼっているということだ。


 死ぬ前ならまぁそんな不思議なこともあるかと、俺は妙に達観たっかんしてその場の状況を眺めている。ベッドの上では腹に痛々しい火傷を負った俺の体が、光のない目で虚空こくうを見つめていた。


「早く荒神返こうじんがえしの儀をやれ! でねぇと本当に取り返しのつかないことになるだろが!」


「無駄ですよ。例え私がここで死のうと、一度呼んだ神は帰ることをしない」


「だから返すための儀式をやれって言ってんだよ! このままじゃここにいる全員死ぬぞ!」


 珍しく本気でキレている猩々しょうじょうは、メガネを殴り飛ばそうと拳を振り上げる。しかし取り巻きのモブの中の一人が、よろけながら俺の心臓へナイフを突き立てようとしていることに気付き、そっちを先に阻止した。器用なもので、猩々しょうじょうは酷い揺れの中でも長い足を回転させ、正確な蹴りを放っていた。


「何してやがる! いま依代よりしろが死んだら、荒神こうじんの怒りはますます収まらねぇぞ!」


「それでいいんですよ、猩々しょうじょう。あなたはこれより我々と共に、マガヒコノオオカミへの生きとなりなさい」


 そして取り巻きの十人のうち五人が、不安定ながらも立ち上がり刺股さすまた猩々しょうじょうへ向ける。残った五人はどうしても俺を殺したいのか、各々手に取った武器を俺に突き刺そうとしていた。


「させるか、バカヤロ!!」


 猩々しょうじょうは立ち上がった一人から刺股を奪うと、押さえつけようとしていた輩を全員一振りでなぎ倒した。そして低く跳躍するとベッドの近くへ降り立ち、俺を守護するように残り五人を瞬く間に打ち据える。俺はそんな猩々しょうじょうの奮闘に、虚しさのような感情を覚えていた。


 猩々しょうじょう、残念だけど俺はもう死んでるみたいだ。荒神こうじんの怒りってのがどんなものかは知らないけど、もう遅すぎたかもしれない。俺を殺させないためにしている猩々しょうじょうの戦いは、全くの無意味なのだ。


 重たい暗雲のように立ち籠めていた神の気配は、今やこの場所だけでは飽き足らずに、もっと広い場所を求めて拡散し続けている。その気配の容量が収まりきらなくなったかのように、部屋のコンクリはひび割れ、地面は立つのも困難なほどに震えている。


 モブの十人はじりじりと俺の死体に群がり、それを拒むために猩々しょうじょうはベッドの上へ乗り、俺をまたぐようにしながら刺股で威嚇いかくを続けている。


 やがて猩々しょうじょうからは見えない位置で、モブの一人とメガネが目配せをしているのが見えた。そのモブは懐からナイフを取り出すと、俺に飛び掛かってそれを突き刺そうとした。


「させねぇって言ってんだろォ!」


 猩々しょうじょうはそのモブの顔を刺股で殴りつけたが、それは罠だった。モブが倒れると同時に合図を送ると、他の奴らが一斉に猩々しょうじょうの構えた刺股と、足元や胴体にしがみついたのである。


「くっ……退けこのっ……!」


 執念深くしがみつくモブどもは、猩々しょうじょう肘鉄ひじてつを受けても蹴りを受けても、離そうとしなかった。そしてモブどもの背後から、メガネが俺に短刀を振りかざしながら走り寄って来た。それは、猩々しょうじょうがどう動いても、間違いなく俺に刺さるタイミングだった。


「クソッ……!」


 猩々しょうじょうが悔しさを顔ににじませ、メガネはしてやったりの表情でナイフを振り被る。自分の体が刺されるところはさすがに見たくないので、俺は思わず固く目をつむって顔を背けた。しかし、俺の体を傷つけたような音はその場から発せられなかった。いや、それどころか、俺が目をつむった瞬間に、世界からありとあらゆる音が消えて失せた。


 地震でベッドがきしむ音も、ざわめくモブが猩々しょうじょうへ纏わりつく音も、篝火かがりびから火の粉が爆ぜる音も、何もかも全部。急にそこが完全な防音室にでもなったみたいに、静寂が耳にやかましかった。


 何が起こったのか分からず、俺は恐る恐る目を開いてみる。すると俺は、さっきまでより遥かに狭い場所へ閉じ込められていた。


 どこか見覚えがあるその場所は、俺が目を覚ますと同時にガタガタと揺れ始めた。部屋自体は基礎が固定されていないのか、さっきまでの部屋よりぐらんぐらんと前後に動いている。そして俺はそこがどこなのか、ハッと気付いた。


 ここはガキの頃に閉じ込められた、観覧車のゴンドラと同じ造りをしていた。狭くてちょっと古めかしい、ピンク色のゴンドラだった。窓からは外が赤く明るく見え、当時観覧車の中から見た夕暮れを思い出した。ただし、ここにいるのはガキの俺ではなく、今現在の俺だ。


 臨死体験にしては、お粗末な思い出だなと思った。死に際ならもっと追体験するのに楽しい場面があっただろうに、なんでこんなに心細く、助かるか不安で仕方なかった記憶なんて思い出すんだろう。あの時は救急隊員が外から助けてくれたけど、今の俺に手を差し伸べてくれる人はいない。俺はもう死んだっていうのに、今さら助かりたいとでも言うんだろうか。


 そのついでのように、子供の頃にここへ閉じ込められた記憶までもがよみがえる。怖くてどうしようもなくなった俺は、親父に八つ当たりして「こんなところ来たくなかった」と泣きわめいていた。それまで楽しく遊んでいたくせに、どうしようもないクソガキだ。


 思えば俺は神のせいで、自分のしたいことも出来ず、行きたい場所へ行くことも恐れるようになっていた。何をしても神からの邪魔が入り、他の奴らからも変に思われ、自宅だけが俺の安息地だった。それを思うと、何だか急にムカッ腹が立ってきた。メガネにも、その取り巻きにも、俺を天空から嘲笑あざわらっている神々にも。


 俺がこんなところで縮こまってなきゃいけないのは、俺の責任じゃあない。なのに俺は勝手に来たくもなかった場所へ連れて来られ、したくもない痛い思いをさせられ、挙げ句にその命まで奪われようとしている。それは、誰のせいだ?


 行動を起こさなければと急激に思い立った俺は、居ても立ってもいられなくなって、ゴンドラの扉を開けて外に出ていた。意外にもゴンドラは空中に吊られていたのではなく、地面へ直に置いてあるようだった。足はすぐ地に触れ、そこで俺は思いもしなかったものを見た。


 それは、太陽だった。昼間に肉眼で見えるような、遠い宇宙に輝く白い天体ではない。それは電波望遠鏡でんぱぼうえんきょうを介してしか見えるはずのない、真っ赤に燃え盛る球体だった。それが、ゴンドラの上で煌々こうこうと燃え上がり、噴炎ふんえんを立ち昇らせている。


 何故かは分からないけれど、俺にはそれが、マガヒコノオオカミとやらに関係するものなんじゃないかと思えた。燃える球炎きゅうえんは荒ぶる神を連想させるのに容易たやすく、荒神の名に相応しい威容いようを放っているように思えたからだ。


 こんなとんでもないものを呼び出して、メガネは何をするつもりだったんだろう。こんなもの、人一人の手にとても負えるものじゃないし、こんなところにっていいものでもない。その姿におそれを抱くと同時に、俺はどうしようもなくあわれな気持ちになって、思わず声を掛けていた。


「なぁ、マガヒコノオオカミさん! アンタも大変だよな、あんな変なヤツに呼び出されて、コキ使われそうになってさぁ!」


 そうだ。きっとこいつだって、こんなところに来たくなかったはずなんだ。だからガキの頃の俺みたいに駄々をこねて、八つ当たりして、あいつらに罰を下そうとしている。


「なぁ、聞いてくれよ! 俺怒ってんだ、あのメガネにも、他の神様にも、俺にしんどいこと背負わせた奴ら全部に怒ってんだよ!」


 俺は臆する気持ちも消えて無くなり、天の火球に向かって語りかけ続けた。


「アンタもアイツらに怒ってるんだろ? だったら俺といっしょに、アイツらに一発喰らわせてやってくんねぇかなぁ! 頼む!」


 その言動に反応したのか、火球が一瞬またたき、炎を揺らめかせたように見えた。そして、火球は大きくその形を変化させ、一直線のほむらの線になり、俺に襲い掛かる。そのほむらは、ちょうど俺が大火傷を負ったのと同じ部位に、吸い込まれるように呑まれて消えていった。


 熱くはない。むしろ、何か得体のしれない異様な力が俺の中に膨れ上がっていくような、初めての感覚がする。そして脳内に、俺のものでない誰かの思考が弾けて響いた。



ナンジイカリ、トドケタリ』



 声とも念ともつかないそれによって、俺の目の前は急に開けた。心臓の鼓動が、耳にうるさいほどに鳴っていた。何かが視界を塞いでおり、俺は横を向く。そこには短刀を振り被ったメガネが、俺のことを刺し貫こうとしていた。


 そういえば、魂になって天井からここを見下ろしていた時も、少し時がさかのぼっていたんだった。でないと俺はもうとっくに、刺されていてもおかしくないタイミングのはずだ。


 俺は何を思うこともなく、無造作に手を払った。バキンッという陳腐ちんぷな音がして、俺を縛っていた手錠が破壊されたのが分かる。胸を貫こうとしていた短刀は俺の手に振り払われ、遠くに飛んでいった。


「何ッ……!?」


 メガネが驚愕の表情を浮かべて、俺を見ていた。同時にベッドが音を鳴らし、猩々しょうじょうのツラが見えた。俺の視界を塞いでいたのは、俺をまたいで守ろうとしていた猩々しょうじょうの足だったようだ。猩々しょうじょうはベッドから下り、周囲を見回して呟いた。


「揺れが、収まった……」


 猩々しょうじょうの言う通り、地震はいつの間にか揺れ幅を小さくしていき、収束しかけていた。俺はむくりと上半身を起こし、もう片方の腕と、両足に力を込めた。錠はまるで飴細工みたいに簡単に壊れ、俺は自由の身となった。


「な、何故……荒神降こうじんおろし、成功するはずが……!」


 メガネがワナワナと震え、唇を青くしていた。同時に猩々しょうじょうは、誰にも聞こえないような声量で、小さく呟いた。


神懸かみがかり、と来たか……」


 俺の血潮は、そのどちらもどうでも良くなるほどにたぎっていた。


猩々しょうじょう!」


「へ、へぇ」


 声を掛けると、猩々しょうじょうが少し間抜けな声色で返事をする。


「俺は、今どうなってる? どうすればいい!」


 すると猩々しょうじょうは、多少の驚きを含ませた顔の後に、口角をニヤリと上げてこう伝えてきた。


「どうぞ、兄さんの好きなようにしなせぇ。今の兄さんなら、何やってもやれねぇなんて不都合はねぇっすよ」


 そうか。何でも出来るのか。だったらマガヒコノオオカミとの約束通り、コイツらに一発喰らわせてやらないと。じろりとメガネをにらむと、たじろいだ奴は慌てふためき、俺を指差して言った。


「何をしている、依代よりしろを殺せ! 今ならまだ間に合う!」


 その言葉に周囲で俺を見上げていたモブが正気を取り戻し、俺に向かって武器を差し向けた。感覚が麻痺しているのか、それとも元からこんなだったか、俺を害そうと向けられる刺股もナイフも、そんなに恐れるものではないように見えた。


 刺股の突進はやけにスローに見え、ナイフは切っ先に反射する自分の顔までも見えた。手刀を振り下ろすと、刺股は直角に曲がってすぐに用を成さなくなった。ナイフを軽く受け流すと、モブはたたらを踏んで転倒しそうになる。それを効率的に仕留めるには、どうすべきか。俺の知る、最も洗練された戦いの動きは何だった?


 思考は0.1秒も掛からず動きとなって顕現けんげんし、脳内で再生される動作を造作もなくトレースした。俺の拳からは人さし指の第二関節が飛び出ており、腕をむちのようにしならせて、それを相手のこめかみにぶつける。指から点となって放たれた衝撃は、脳まで浸透する一本の線となって突き抜けた。


 がくりと倒れるモブの後ろから、刺股とナイフを持った二人が左右に分かれて襲い来る。俺は後ろに倒れるようにそれをかわしながら、足で弧を描くように回転し、絶妙なタイミングで二人分のくるぶしを払っていた。

 

 猩々しょうじょうが常に外さなかったサングラスを外して、俺の方を見ているのが視界の端に映った。その眼はやけに鋭く、そしてどこか楽しげにも見える。きっとアイツには、俺が何をしているのか伝わったんだろう。


「あっしの技を、一回見ただけで……荒神の力ありきたぁいえ、バケモンじみてるじゃねぇすか」


 猩々しょうじょうの呟きも、俺までは届かない。体は思った以上の働きをしてくれて、相手の武器は全く意味を持たず、十人なんてあっという間に地面を舐めていた。残るは、あと一人。


「おい」


「ヒッ……!」


 モブの苦闘を尻目にコソコソ逃げようとしていたメガネを、俺は見逃さなかった。


「人にこれだけのことしておいて、自分は隠れて逃亡か? 俺がはいそーですかって見逃がしてやると思うなよ」


 その背後では猩々しょうじょうが、メガネの退路を絶つべく壁にもたれている。


「あんたが降ろした神サンだ。自分で始末つけなせえよ」


 猩々しょうじょうよりはマシと判断したのか、メガネは後退を止めて俺と対峙たいじした。


「フ……ハ、ハハハ!! 逃亡……逃亡だと? たかが依代よりしろ餓鬼がきが、私を負かしたつもりか!?」


 それはどう贔屓目ひいきめに聞いても、負けた側の強がりにしか聞こえない。味方を見捨てて逃げる様は、ケンカに負けた小学生よりもみじめで情けなかった。


「逃げないならさっさと来いよ。こっちは誰かさんにつけられた腹の火傷が、まだうずいてんだからさ」


 その言葉に嘘はない。事実、マガヒコノオオカミの力を借りても火傷は癒えておらず、今はアドレナリンだか何だかの脳内麻薬の作用で鎮痛されているに過ぎない。それが尽きてしまえば、立っていることも出来ない激痛がまたぶり返すに違いない。


 けど、体はまだ動いてくれる。だったらそれまでに、このメガネに一発くれてやることくらいは出来るだろう。


「馬鹿め……たとえ荒神の力を手に入れたとて、お前に何が出来る!!」


 メガネは腹をくくったかのような台詞を吐きながら、その実卑怯な手に頼ろうとしていた。白装束のたもとから、素早く何かを取り出して構えたのである。


 それは、奴の内面のように粗末で真っ黒な拳銃だった。黒光りする銃身で俺に狙いを定め、一瞬の躊躇ちゅうちょもせずメガネは引き金を絞った。放たれた銃弾は二発。そのまま受ければ、俺の胴体と首元に当たる。けれど、俺も猩々しょうじょうも落ち着いたものだった。


 俺は全身に渾身こんしんの力を込め、弾丸を受けた。肉に食い込み、骨まで届くはずの弾は俺の肌さえ破ることはなく、胴と首に太いミミズ腫れが一本ずつ走っただけとなった。弾丸は俺の肌の上を滑っていき、後ろの壁に食い込む音がした。


 それとほぼ同時に、猩々しょうじょうが後ろから近付き、長い足で拳銃を蹴り上げた。軽く蹴っただけにしか見えなかったのに、拳銃は天井付近までクルクルと飛んで、猩々しょうじょうの手の中へ綺麗に着地した。


「神事に不粋なもん持ち込んでんじゃねぇっすよ」


「クッ……!」


 万策尽きたメガネは、猩々しょうじょうに気を取られていた。お陰で俺は、その目の前まで悠々ゆうゆうと歩いて近付くことが出来た。メガネが俺の接近に気付いた時には、その胸ぐらを掴んで地面に引きずり倒していた。


「モブには手加減してやったけど、お前のツラなら全力で殴ってもいいよな?」


 その言葉に、メガネの顔から血の気が失せたのがはっきりと分かった。


「や、止めろ! 荒神の全力を持ってすれば、ただの人なんて跡形もないぞ! お前は人殺しになりたいのか!?」


「うるせぇ! 俺を殺そうとしたテメェが言うな!」


 拳を握ると、メキメキと骨の鳴る音がして、手の甲に血管が浮かび上がる。今なら本当に、どこを殴ってもこいつの命は亡きものになるだろう。


「歯ぁ食いしばれ!!」


「ヒィィッ……!!」


 メガネは今にも消え入りそうなほどに青ざめ、歯の根をカタカタ鳴らして震えている。その顔面の横に広がるコンクリを、俺は振り被った拳で思い切りぶん殴ってやった。途端に地面は陥没かんぼつし、拳を中心に直径五メートルほどのクレーターが出現した。地面に埋まった拳を抜くと、メガネは白目をいて気絶し、白装束の股の部分は水分でビタビタに湿っていた。


「漏らすほどビビるなら最初からやんな、バーカ!」


 手首を振って拳を見たが、無茶な使い方をした割に傷んだ様子はない。弾丸すら弾いたのだから、当たり前と言えば当たり前だろうか。それと同時に、一仕事終えた安心感からか俺は急激な疲れに襲われた。立っていることもままならず、俺は気絶したメガネの横に膝をついた。


「大丈夫ですかい?」


 猩々しょうじょうが俺の前までやって来たが、その顔もよく見えなくなるほど視界はかすみ、どんどん前後不覚になってゆく。


「わり、しょうじょ……あと、まかせ……た……」


 絶え間ない全身疲労に負けた俺は、こてりと頭を地につけて深い眠りについた。


「……よく気絶する兄さんなこって」


 猩々しょうじょうの呆れたようなツッコミも、今の俺に届くことはなかった。






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