両親が行っていた事
「お前の両親は特殊な力を持っていた」
「特殊な力・・・・」
「あぁ・・・・
俗にいう幽霊やあやかしを見て
払える力・・・・
お前の両親・・・・
吉原遼介と吉原美衣子は
その力を使って人を助けてた
ようは自分の力を使って金を稼いでいた
啓介・・・・
お前を養うだけの金も手に入れてた」
「!!!!!」
その話に俺は息を呑む
「それって・・・・
父さんたちが俺を育てる金の為に
お前達みたいな化け物を払ってって事?」
「私は化け物じゃない
立派な付喪神なんだけど?」
「付喪神って・・・・
物に宿る神様の事…だよな?
でもうちにそんなものあったかな?」
俺が不思議そうにすると
蛇の姿から少女の姿に戻って
ちとせは指を刺した
その方向を見て俺はハッとする
「まさか・・・・神棚に飾ってある
あのナイフっぽいやつ?
父さんと母さんが
いつも大事にしてた・・・・」
そう俺が言うと…ちとせは頷いた
「元々私は・・・・
あの二人が子供の頃に拾った
古びたナイフだった
でもあいつらが・・・・
私を大切にしてくれたから
付喪神になったんだ」
そう言ったちとせは嬉しそうだった
「私を初めて見たときの
アイツラの顔は…かなり面白かったな」
「・・・・・」
「小さい頃からアイツラのそばにいた
お人好しでな・・・・
お前の赤ん坊の時も一緒にいた」
「じゃあなんで…今まで姿を・・・・」
「そりゃあ、りょーすけとみぃ
あんたの両親に止められたからだよ」
そう言ってちとせは俺を見た
「アイツラが忙しくて
暇だったから外に出てたら
けーすけと会った・・・・
その時から一時期・・・・
けーすけと遊んでたがあるだろ?」
「あぁ…だから驚いたんだよ
最後に会ったころから
まったく成長してない姿だったから」
そういった俺にちとせは笑う
「この方がお前に親しみやすい姿だと
思っただけなんだがな」
「まぁ確かに親しみやすかったけどさ
俺は不気味なんだが・・・・」
「そうか、ざんねんだ
ともかくお前との遊びは楽しかったぞ
私はりょーすけとみぃの子供の頃の遊びしか
知らなかったから驚愕の連発だった
特に今のゲーム・・・・
アイツラの時代はドッド絵だったのに
あんな美麗なものにってるとはな」
その話に俺は少し笑った
確かに母さんたちの世代のゲームは
ドットが多かっただろう
「それで私がお前と会って遊んでいた事
二人にバレちゃってさ~
二人が見た事ない顔で怒ってたんだ」
「・・・・あの母さんたちが?」
二人とも・・・・
滅多に家に帰ってこなかったけど
俺が知ってる二人は穏やかな人たちだった
怒った顔なんて見た事なかった
「そりゃあ凄かったんだ
鬼の形相とはまさにあの顔の事を言うね
だからこそ言ったんだよ
お前達の息子なら能力も継ぐかもしれない
今のうちに私の姿を見せた方がいいって
でも二人はこう言ったんだ・・・・
『自分たちの事にまきこみたくない』ってな」
ちとせの言葉に俺は目を見開いた
「どういうことだ?」
「知らないよ
私はずっとこの神棚にいたんだ
二人が外でどんな仕事してるかなんて
分からないよ」
その話に俺は顔を歪める
「でも、あの日の事はよく知ってる
二人は連れ去られたんだ」
「っ!つれ…さられた?」
「あぁ・・・・
しかも人じゃない・・・・異形の存在にね」
そう言ってちとせは俺を見た
「私は二人に言われた
化け物の狙いはけーすけだって」
「っ!!!!」
「お前を頑なに遠ざけてた事も含めて
お前は何か秘密があるんだろ
二人は最後に俺にこう言った
『自分達がいなくなったら
啓介を頼む』ってな・・・・」
その話に俺は顔を歪める
「お前は狙われてる
二人はそんなお前を庇って連れ去られた
お前の両親はお前の平穏を望んでる
それでも・・・・
お前は両親を追うか?」
その言葉に俺は息を吐いた
(母さん・・・・父さん・・・・)
俺は思い出す・・・・
忘れようとしてた二人の笑顔
『『啓介』』
二人の声も久しぶりに思い出して笑った
「追うに決まってるだろ」
「・・・・・」
「この数年間・・・・
どれだけ俺が苦しみながら
二人がいない現実に打ちのめされていたか
もう待たされるのはこりごりだ
二人が俺を守ってくれてたなら
今度は俺が二人を助けに行く
絶対に・・・・
この現実から逃げたりしない」
そういった俺に・・・・
ちとせはニヤリと笑って異形の姿に戻る
「いいだろう
なら私の力を貸してやる」
すると神棚においてあったナイフが
動き出して宙を舞い・・・・
俺の目の前に浮かんでいた
ちとせはその内部の後ろで
俺を見て笑った
「我は千の歳と書いて千歳
わが主・・・・
吉原遼介と吉原美衣子の息子
吉原啓介よ・・・・
我、吉原家の守り神として
お前を今代の主として認める
さぁ…このナイフを持つがいい」
その言葉を千歳が話した瞬間
ナイフが白く光り輝いた
俺は息を呑みながら
そのナイフを握りしめると
その白い光は眩しいほど光り輝いた
光が収まったあと・・・・
そのナイフを見る
白く光り輝いている
綺麗なナイフだった
俺はそのナイフを強く握りしめて
千歳を・・・・
異形の形になってる
俺の友達をまっすぐ見つめる
「これからよろしくな、ちーちゃん」
「!あぁ・・・・
よろしくな、けーすけ」
こうして・・・・
俺とちーちゃんの奇妙な関係が
始まったのだった・・・・
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