インターミッション・1
この世界の覇王アレックス・マーフィー・ジュニアCEOがFBI本部ビルへ急行するプライベートジェット機内にてBBCの緊急ミーティング通称「ヘル・ゲート」が緊急開催されていた。
画面が闇に溶ける。
ビッグバン社のロゴがゆっくりと赤く回転する。低いバス音が胸を打つ。
突如、雷のような声が炸裂する――アレックス・マーフィー・ジュニアの演説。
アレックス・マーフィー・ジュニアが雷鳴の如く絶叫する。
「BLACK SOUL POWERだ、馬鹿者ども!!
筋肉がすべてを解決する!!
お前ら大学で何を学んだ? アルゴリズムか? 倫理か? AIの“プロトコル”だと? 無価値だ!! 全て無駄だ!!
世界が崩壊し、人が喚き声を上げるとき――論理が救うか? 違う!! 魂だ、筋肉だ、力だ!!!」
BBCの巨大な画面には若き新人研究員ボブ・ガード―ナー(26)の無邪気な笑顔と質問のリスト:
「CEO、どうしてボビーのAI倫理プロトコルは無効化されているのですか?」
「どうして彼はカタログ仕様を超えるのですか? 物理法則を破るのはなぜでしょう?」
「消化器官が無くてもなぜバーガーを食べられるのですか?」
「あの違法兵装はどこから供給されているのですか?重武装、重装甲のフルアーマ・マスタング何てバカなマシンを一体誰が制作したんですか?」
「その革のトレンチコート…無限に武器を生むの? あのポケットはもしや、4次元空間ですか?ジャパンのアニメの?ドラ…。」
「それ以上は言うな!!」
アレックス・ジュニアは筋を怒張させて吠える。
アレックス・ジュニア「BLACK SOUL POWERだ、愚か者よ!! それが全ての答えだ!!
ボビーが物理を破るのか?――BLACK SOUL POWERだ。
消化器官が無くても食うのか?――BLACK SOUL POWERだ。
トレンチが武器を生むのか?――BLACK SOUL POWERだ!!
解決か? 筋肉だ、クソッタレが!!」
スクリーンには質問と解答が血のような赤でスタンプされていく。
ANSWER:BLACK SOUL POWER
SOLUTION:MUSCLE
カメラはボードルーム越しにアレックス・マーフィー・ジュニアCEOを捉える。
ステッキを握り締め、額に汗を光らせながらスクリーンに向かって唸るように言う。
アレックス・マーフィー・ジュニアは凄むように画面の研究員達を睨みつける。
「覚えておけ、見ている者ども。科学は脆い。プロトコルは嘘だ。だが魂と筋肉は嘘をつかない。The Long Legsが我が帝国に牙を剥くなら――我が手で砕いてやる。砕いてやるのだ、魂と筋肉でな!!」
ビッグバンコーポレーション。通称、BBC。別名「ソドムの市」
この企業に就職を考えてはいけない。
少なくても人間でいたいなら。
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