第15話 ボビー・ザ・ファイナル
天使が新興宗教にはまり家庭崩壊を起こす街、ロサンゼルス。
夜霧がスモークマシーンから生成されるファンタジーゾーン。
LAPD警察署を襲撃した傭兵達のリーサルウェポン。
マザーファッカーのミニガンが――ついに息切れした。
ロサンゼルスの虚空に、17,256発が吐き出された。
壁はズタズタ、死体が倒れ、警察署は煙を噴くクレーターと化す。
そして――静寂。
ボビー・キャラハンは瓦礫の中で体を起こし、
ルーキーを小麦粉の袋のように肩から投げ捨てた。
悪魔のトレンチコートが揺れ、
シガーの火種が闇の中で赤く光る。
「地獄も弾切れか。」
.44マグナムをホルスターに滑り込ませ、
一振りでコルト・パイソンをアレックスに投げ返す。
そして――拳を構えた。
もう弾はない。
これはもう銃撃戦じゃない。
「これは弾の話じゃねぇ、ガキ。
リスペクトの話だ。こいつとはナックルトーキングが必要なようだ。」
瓦礫の向こうで、鋼の巨人が動き出す。
アンチ・ボビー・ユニット――マザーファッカー。
油圧がシューッと鳴り、赤い光が再点火する。
トレンチコート vs チタニウム。
二人の巨人が対峙する。
ラウンド2。
深夜の怪獣映画のような、怪物的な殴り合いが始まった。
拳が装甲を砕き、装甲が骨を軋ませる。
火花と血飛沫が、ネオンの照明と混ざり合う。
アレックスは床に倒れたまま、
コルト・パイソンを抱えて驚愕の目を見開いた。
「サー……これはロッキー対アポロ・クリードだ!!すごいや!!」
完全に観客モード。
新人刑事は職務放棄どころか公式サボタージュ状態だった。
ボビーは煙を吐き、筋肉を緊張させた。
「泣けるぜ。」
💸 Meanwhile in Miami
その頃、マイアミ――。
ビッグバン・コーポレーションのペントハウスは、
完全に高級カジノクラブへと変貌していた。
ホログラフィック映像がギャンブラーたちを青い光で照らし、
数百万ドル分のチップが空中を舞う。
「500万ドル! マザーファッカーが彼の頭を引きちぎるに賭ける!」
「1000万ドル! キャラハンがまた物理法則をぶち壊すに賭ける!」
アレックス・ジュニアCEOはバーボンを手に、
椅子に深くもたれかかり、嗤った。
「カオスだ、諸君。
カオスこそが――大当たりだ!このアンチ・サイエンス・サーカスを大いに楽しもう!!」
カメラがちらつき、会議室は賭けの雷鳴で揺れた。
ロサンゼルスでは、ボビーの拳とマシンの鋼の爪が激突する。
衝撃波が都市を裂き、
衛星軌道上の通信を一瞬だけ沈黙させた。
その刹那、宇宙そのものが――
どちらを応援しているのか、考え始めた。
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