第9話 VS破壊神

破壊を司る神は川村猫衛門の剣術の噂を聞いて興味を抱き力試しをしようと地上へ降り立った。灰色の肌に筋肉質の巨漢は長い髪と髭を風に靡かせ灰色の瞳で川村を

一瞥してニヤリと笑った。


「お前が川村猫衛門か。我は破壊の神である」

「神様が拙者にどんな用でござろうか」

「お前がどれほどの強者か腕試しをしたいと思ってな。我と戦わぬか」

「腕試しでござるか……地球が壊れぬ範囲であれば構わぬでござるよ」

「安心したせ。我が破壊するのはお前だけ。人類には手は出さぬと誓おう」

「それなら安心でござるな」


破壊神は地球よりも大きなサイズから縮小して二メートルほどになった。


「では、参るぞ」


破壊神は拳を弓のように大きく引いて拳を放った。拳圧が放たれる。

薄紫の圧が迫るが川村は威力を刃で受け流す。


「我は破壊を司る。よって我の拳は全てを破壊するのだが、お前は破壊に抗うというのか。面白いぞ、川村よ」


川村は次々と放たれる打撃を刃で対処していく。

本来ならば一発受け流しただけでも恐るべき事態なのだ。


破壊神は神の中でも最上位に君臨する存在で地球など小指の先程度の大きさしかない。それが縮小して威力を圧縮しているのだから数値化できぬほどの破壊力があるはずなのだが、川村は剣技で堂々と迎え撃っているのだ。


破壊神は前進し両の拳を組み合わせた拝み打ちを見舞うが川村は刃で受け止める。

歯を食いしばって破壊神の拳を押し返した。


「ぬうッ」


破壊神は目を見開いた。斬撃が迫る。

破壊神は徐々に後退し岩壁に追い詰められた。


「さて、どうするでござるか」

「フフフフ。我の負けだ。お前は数百……否、数千人分の神に匹敵する強さだ」

「楽しい勝負でござった」


金属音を立てて刀を収納して川村は晴れやかな笑顔を見せる。

彼は勝負を心から楽しんでいたが、破壊の神は知っていた。

川村にとってこの対決はどこまでも力試しの領域であり真剣勝負とは違っていると。

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