第10話 VS天使 幕間
ある日のこと。川村は友人の星野天使(ほしのてんし)と一緒にカレーパンを食べながら歩いていた。道が広いのでふたり並んでも邪魔にはならない。
星野は茶色の艶のある髪に眠そうな半開きの瞳をした色白の美少年で白いシャツに灰色のズボン、首元にはヘッドフォンをかけている。
大好物を食べているときでも基本は無表情な星野だが、色素の薄い瞳がいつもより輝いていることを川村は気づいていた。
些細な変化にも気づけるようになったのは彼との距離が近づいているようですこしだけ嬉しい気持ちになりながら手元に残っていたカレーパンの最後の一口を食べる。
今日は平和だ。強盗もいないし怪獣や怪人も出現していない。星野も同様にカレーパンを完食してから近くに設置されているゴミ箱に紙包を捨てて川村の顔を見た。
わずかな無言のあと、星野が呟いた。
「川村君。僕と戦ってみませんか」
「星野殿と?」
「僕も最近は戦闘をしていませんし腕がなまるのも嫌ですしいい運動にもなると思いますから」
「練習試合の範囲でなら拙者はいつでもいいでござるよ」
「でしたらちょっと移動してはじめましょうか。僕たちが戦ったら皆さんに迷惑がかかるかもしれませんから」
「お主のという通りでござるな」
天使の星野が戦闘をすると色々な意味で迷惑がかかるので、彼の提案は至極当然のものだった。
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