現代社会を生きる日本人、めっちゃくちゃ忙しいんですよ。
それは、単純に「仕事の量が多い」という意味だけに止まりません。
余暇の過ごし方、どのような娯楽を嗜むかという分野においても、めちゃくちゃに忙しいのです。
嘘だと思ったそこのあなた、ちょっと冷静に数を数えてみてください。
スマホのソシャゲ、いくつ掛け持ちしてますか?
Steamの積みゲー、いくつ積んでますか?
それ以外の据え置きゲームのタイトル、いくつプレイしていますか?
配信を追っかけている推しのV、いくつチャンネル登録していますか?
今期のアニメ、いくつ追いかけていますか?
連載を追いかけてる漫画の数は?
積んでる本の数は?
カクヨムでブクマしただけで満足しちゃった作品数は?
おそらくすべてカウントしたら、結構な数になる方が多いでしょう。
つまり、めちゃくちゃな数の娯楽コンテンツに囲まれ、それぞれに時間を奪われているのが現代人なのです。
ともなれば、それらのコンテンツから楽しさを享受するのにも、効率性が求められてきてしまう。
すると、じっくり考えて判断するというのがめちゃくちゃに効率の悪いことになってしまうわけです。
結果、自身が主体的に考えたり、複雑な考察を行ったりするコンテンツから人々は遠ざかり、自分が何かせずとも結果だけが短期間で得られる受け身なコンテンツばかりに人気が集まってしまった、というのが現状でしょう。
これにより、多くの人々は「思考する」という余裕を失い、更にその機会を失われたことにより「思考する」ということそのものが苦手になっていったのです。
これがまさに、「わかりやすさ」に読者が殺されたという本書の意味することです。
ひがみでもなんでもなく、娯楽に溢れすぎる昨今の時代に対しての強烈な警鐘となる本作。
今一度お目通しいただき、思考することを取り戻していただきたいものです。