オールドコアダイズ

春瓜れい。

学園編

第1話 次元の魔法

 俺は強く叫んだ。

この世の全てがわからなくなり、羞恥心でいっぱいの人生。


 理由はただ一つ。

 小学生でも簡単に出来る魔法が出せないからだ。「おかしいだろ、何一つ魔法が出せないのは、みんなはダンジョンで役に立つスキルや魔法を持っているのに俺は、俺は!」


 放課後、夕日が赤く空を染めてカラスが笑うように鳴く。


 一人だけ卒業出来ずに探索者にもなれず、このまま一人だけ何者にもなれず暮らしていかなければならないのか?


そう俺は深くため息をついた。


 「今日も練習しないとな」

俺はぼそっとつぶやき校舎裏に向かった。


 俺は毎日、校舎裏で魔法の練習をしている。魔法がないと探索者ライセンスが貰えないからな、どれだけ頭がよくても、力が強くても


モンスターに対抗出来るのは魔力の力だけ。


 だからこそ、俺はなんとしても魔法が使えるようにならないといけない。

 そもそも小学生から魔法の勉強をするようになったのはおよそ50年前、


 俺たちの地球に別の地球、パラレルワールドが降ってきた。それからだ、全ての街や国にダンジョンが出現したのは。


 国や企業はそのダンジョンを利用し、都市開発や観光スポットなどを作り出し、モンスターに対抗すべく、軍隊や探索者を育成することが義務化された。


おかしな話だよな。


 そんな昔話はおいといて、今は基礎魔法を使えるようにならないと、俺は木に向かって指を指した。


 「今日は重力操作、小学二年の基本だ」


俺は指に力を込めて思いっきり下に降った。

「落ちろ!」


 するとズルッと落ちる音がした。

やった、成功した。


 だがその時、足が鋭く刺されたような寒さを感じた。俺は不思議に思い、下を向くとズボンが落ちていた。


 「おい、そっちは落ちたらダメだろ!」


 葉っぱを落とすつもりがズボンが落ちた、

これを同級生に見られたらどうなっていたことか。


「あぶねぇ、今度こそ」

「落ちろ!」


 どこかで何かが落ちた音がした。


 なにかやばい事したか?

その後地響きが聞こえて、どんどんと大きくなる。強く、凄まじい音と揺れが俺を一気に緊迫状態にさせる。


 「何だよ、何が起きるんだ」

 すると、大きなモンスターが校舎を飛び越えて俺の目の前に立ち塞がった。


 大きな牙にギョロリとした目、まるで恐竜のような体は俺の何倍も大きかった。


「待てよ、俺はライセンスの対象となる魔法は一つも出来ないんだぞ、こんなモンスターどうやって倒すんだよ。」


 俺が使える技の重力操作はあくまでサポート技、幼稚園生でも出来る。その基本魔法、小学性の技が出来ないんだぞ、


 いいか、小学性でも出来る技が出来ない奴がこんな高ランクのモンスターにかなうか!?


 こんな思いするんだったら、最初からもっと練習すればよかった。


 あの人に、あのときの命の恩人に恩返しが出来ずに死ぬなんて。こんな恥ずかしいことあっていいのか!


 なあ、教えてくれよ。

俺は一体どうすればいいんだよ。


 (君はもう二度とあの禁じられた魔法を使うのではない。)


 ……!

 俺は深い記憶の中の出来事を思い出した。

強く締め付ける心臓の音と共に、強く拳を握りしめた。何で忘れてたんだ。


 ……生きるために、これしか方法はない。

「おじさんごめん、あの約束は白紙にするよ」俺は目を青く輝かせ、魔力を解放した。


 ドシンドシンと怪物が大きな口を開け、俺に食らいつこうとした。だが俺はモンスターの足に向かって空間を歪めた。足にゆがんだ地面を絡ませモンスターを動けなくした


必死にもがくモンスターに俺は指を強く指した。


 「おまえの特技が牙ならそれをおまえにおみまいしてやるよ」


 俺は校舎を変形させてたくさんの牙を作り出した。そして両手をたたき、それに応じて校舎はモンスターを噛んだ。


 モンスターの動きが鈍り、あと一撃で倒せる。それなら、今度はドデカい一撃をお見舞いして終わらせてやる。


 俺は空気を圧縮して巨大な透明のたまを作り上げた。大きな丸、まるで地球のような模様を浮かびあげていた。


俺は高く飛びモンスターに打ち落とした。「オーガニックスマッシュ!」


 いかにも厨二病っぽい決め技でモンスターに強烈な一撃を与えた。


 モンスターはデータのような体になりチリになって消えた。


 [ハンターポイントゲットっ!レベルアップ!]俺のスマホがなった。


 どうやらモンスターを倒すとポイントが貰えるらしい。ステータスをみてみると一気に5レベルに上っていた。どうやらあのモンスターは相当な強敵モンスターだったらしい。


……この禁じられた魔法、次元の魔法。

時間・空間・物質・精神全てを思い通りに出来る。こんな力を俺は使いこなしていた。


 俺は一体。


 「おい、川崎ダイチ!おまえ校舎裏で何をやってる!」


やべ、先生だ。禁じられた魔法を使っているところを見られていたら大変なことになる。


「練習ですよ。基礎魔法の」

「別にもう練習する必要はない」


 何で、あれがないとライセンスは取得できないはずだが。


「おまえは次元の魔法が使えるのだろう、あれを使えるものは次元の魔法以外全ての魔法が使えない」


 なんだって、じゃあ俺は今まで何をしていたんだよ。徹夜して練習してたのが水の泡だよ。

……でも、なんかすごい魔法を使えるのはなんかかっこいいな。


「もう日が暮れる。早く帰って明日の授業の準備をすることだ」


「はい!」


俺はまだ知らなかった。これからとんでもないイベントがこの学園で起きることを……

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