第21話

 4月になって、優樹は裏側の世界で暮らし始めた。

「ゆうちゃん、お昼どうする?ぼくはいつもお弁当を持って行くけど、ゆうちゃんの分も作る?」

「作ってくれるなら、持って行く」

「じゃあ作るね」

「ありがとう」

 静が、台所にいる間に、優樹は洗濯をする。これは、向こうにいたときと同じだ。

 優樹も、料理は出来るけど、静が作るものより、美味しくない。

 掃除、頑張ろう。

 ひっそりと決意する。

 

「優樹、おはよう。こっちの生活には慣れたか?」

 穂波は、今日も眩しい。

「もう少しって感じです」

「そうか、まぁ5月くらいになれば、慣れてしまうさ…」

 笑顔で言われて、納得した。

「静君の様子はどうだ?」

「落ち着いてます。夜もちゃんと眠れているようだし、元気ですよ」

「優樹はどうだ?」

 問われて、胸に手を当てた。

 内側で、力が揺れている感じはしない。

「こっちに来てから安定してます。静と暮らしているからですかね?」

「そうかもしれない。その辺は、葵か緑の魔女に聞くしかないか…」

 一度見てもらうか?

「そこまでしなくていいですよ」

「なら、いいんだが」

「今日は少し離れた場所に行くんですよね」

「あぁ、北口の向こうだな」

「もう、誰か行ってます?」

「行ってるぞ」

「じゃあ、俺も行ってきます」


 戦闘職は、基本的にコ゚ーストを倒すことで、収入を得ているので、街中をよく歩いている。

 北口まで行って、壊れた街を見る。

 チラホラと、コ゚ーストが湧くのを見て、切り捨てる。

 こういうのを放置すると、大きくなって、いずれ表側に出ていく。

 そうなったら、静も戦うことになる。

 それはどうしても、避けたいが、優樹はまだ自分の力をいまいち使えていない。


 光は、炎のように広がらない。直線的で、横に刀を振れば、倒せる敵は増えるけど、それだけだ。

 ため息をついて、コンビニに行き、お茶を買って崩れた建物の屋上に行き、お昼にした。

 カバンから、お弁当を出す。

 ふたを開けると、偏っていなかった。

 何故、かたよらないのか…。

 首を傾げ、卵焼きを食べる。冷たいけど、ちゃんとおいしい。


 なんかもう、静がいないと駄目かもしれない。

 お弁当を食べながら、優樹はそう思った。

 

  

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