第19話

「優樹君、あの…静君が弓をやめたのって…」

「あぁ、それですか。静は弓が上手いし、優しくて、人気があったから」

「そうなんだ」

「でも、からんでいた奴らも辞めましたよ」

「どうして?」

「他の奴らは静が好きだったから、相手にされなくなったし、凪もやめちゃったから余計に…」

 優樹は欲しい商品をレジに持って行き、会計を済ませた。

「あとから謝りに来たけど、その頃には受験勉強しなきゃいけなくて、そんな暇ないって、凪は兄さんが行かないなら、私も行かないと、断わっていました」

六花の脳裏にキリッとした少女が浮かぶ。あの子はもしかして、ブラコンなのだろうか。

「断わって大丈夫だったの?」

「大丈夫ですよ。あいつは見た目より強いから、物理的に仕返し出来ないし、大っぴらにいじめたら、いじめた方が悪く言われますから」

 優樹が笑う。

「ゆうちゃん、いらっしゃいませ」

「おう、今帰ったのか?」

「そうだよ。あったかくなってきたから、冬になかったものが、いっぱいあるの」

「例えば?」

「花がいっぱいあるよ」

 静はリュックから箱を出して、中を二人にみせた。

 中には、色鮮やかな花が、美しく入れられている。

「これ、何に使うんですか?」

 優樹が口に出して、静がきょとんとして六花を見た。

「いい香りのするお守りになるの。ハーブと混ぜて使うのだけど、種類によってはそのままドライフラワーにしたりして、玄関やリビングに飾るの。

 こっちの花は表側にいくと色が鮮やかになるから、とても綺麗なのよ」

 六花は、二人に2枚の写真をみせた。

 最初の1枚は少しくすんだ花。

 2枚目は、着色したのかと思うくらい、色が鮮やかだ。

 どちらも、同じリースなら、綺麗な方がいい。

「魔除けでも、綺麗な方が飾りやすいわよね」

「これ、六花さんが作ったんですか?」

「えぇ、そうよ」

「六花さん、凄い」

 静と優樹が、尊敬のまなざしで六花を見つめた。

「そんなに難しくないのよ」

 真っ赤になって慌てる六花は、可愛かった。


 

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