第17話
静は四つ葉のクローバーを見つけた。
3つは、普通の植物だが、ひとつは結晶になっている。
歩きながら集合場所にいく。その途中で、やけに神々しい羽を拾った。
「店長さん、六花さん」
「どうだった?」
「たくさんありました」
「そうか、皆集まったし、お昼にしようか」
「そうね」
邪魔にならない場所に移動して、レジャーシートを広げ、六花と静がお弁当を出した。
「二人共、料理が上手いなぁ」
葵は、料理がちょっと苦手だ。
「店長も少しは、作れるようにならないと」
六花はサンドイッチを手に言った。
「頑張ってはいるんだけどね」
「店長さんは、ご飯を炊けて、お味噌汁を作れれば大丈夫ですよ」
「なんで?」
六花が首を傾げた。
「だって、六花さんがいるじゃないですか」
作ってくれる人がいるなら、作れなくても良いと静が、当たり前のように言って、おにぎりを食べた。
「えっ!?」
「二人は、付き合っているのでしょう?」
きょとんとしている。
「ぼくとゆうちゃんは、そう思っているのですが」
大人二人は顔を見合わせて赤くなった。
「まだ、付き合っては…」
「これから、だから」
「そうなんですね」
にこにこして、六花の作ってきた唐揚げを食べて、おいしいですと言った。
食後のお茶を飲んでいるときに、静は小さな羽を出した。
「それ、どうしたの?」
「拾いました。妙に神々しくて……。六花さん、いりますか?」
「いいの?」
「どうぞ。ぼくには、不要なものです」
綺麗ですけど、と笑う。
「ありがとう…」
羽を受け取り、紙に挟んで、しまった。
「でも、何の羽なんですか?」
「火の鳥だよ」
葵が言った。
「実在するんですか?」
「こちらではね」
いつ、どこで会えるか分からない霊鳥だと説明すると、静は目をキラキラさせた。
「いつか会いたいな…」
静はお弁当箱とレジャーシートを片づけた。
リン……。
静のリュックについている鈴が鳴る。
葵のくれたお守りが、コ゚ーストが近づいているのを教えてくれる。
まわりの人も、何かを感じて、武器を手にしていた。
「大きいな…」
「小さいのも、いっぱい出てます」
公園の中心に、鬼としか呼べないものがいる。鬼が吠えると、空気が震えた。
「ぼく達はどうしますか?」
「戦闘職の邪魔にならない場所に行こう」
中心から離れた人達は、戦闘職を支援している。もちろん、自分を守る結界を忘れない。
「ぼくもお手伝い」
静は弓を構える。矢があらわれ、静が射る。何度もくり返すが、一度も外していない。
「凄いわ」
「そうですか?当たり前だから、よく分からないです」
今も、コ゚ーストが金色の光になって消えた。
「でも、弓をやっていて、怒られることは、たまにありました。何か、こう…勝とうという気持ちが足りないとか、真剣味が足りないとか、よく分からないことを言われました」
それは、妬まれていたのでは、大人二人はそう思ったが、口にはしなかった。
「負けるつもりで大会に出たことはないし、真剣にやるのは当たり前なのに、なんで言われたのか、いまだに分からない…」
困ったように笑う。
「…やめちゃったの?」
「まぁ…」
それから、弓には触らなかったと言った。
「…嫌な思いをしてまで、やることじゃない」
「…ぼく、嫌だったんですね」
気づかなかったと苦笑した。
「分からなかったの!?」
「えぇ、他にもやることがありましたから」
「それは、何?」
「受験勉強」
「あぁ、それか…」
二人は納得した。
「しかし、キリがないですね…」
次々とコ゚ーストが湧いてくる。
「コ゚ーストの数に対して、戦闘職が少ないからだろうね」
「そうみたいですけど、矢は一本ずつしか出せないです」
「それなら、私がなんとかできると思うわ」
六花が筆を出した。
「威力が上がるように、これを」
葵は静にブレスレットを渡した。ついでに、結界を強化する。
六花は筆にマナを込めて空中に増という文字を書く。
「浄という文字もお願い出来ますか?」
「わかった」
六花が書き終えると、静は深呼吸をして、弓で地面を軽くコツンとした。
まるで、夜空のような色が広がると、弓を構えた。少し上に矢を放つ。
浄という文字を通り抜け、緩やかに上昇すると浄という文字が広がって、矢が吸いこまれた。
コ゚ーストがぴたりと止まり、上を見つめる。
金色の矢が、雨のように降ってくる。
人に当たってもなんともないが、小さなコ゚ーストはおとなしく消えていく。
「ぼさっとするな!!まだ大物が残っているぞ!!」
誰かが、叫ぶと不思議な空間は消えて、もとに戻った。
戦闘が始まった。
静は息を大きく吐き、弓を消した。
「静君。大丈夫かい?」
「はい。ちょっとふらつくだけで…」
「それは大丈夫とは言わないのよ」
葵と六花は静を連れてバス乗り場まで行き、座らせた。
静はリュックからお茶を出して飲んだ。
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