第16話

「さざれ石がたくさんある場所を知りませんか?」

「知ってるよ」

「たくさん欲しい人がいるみたいで」

 パソコンの画面をみせた。

「本当だ」

 さざれ石なんてどこでも置いているし、静をあまり遠くへ行かせるのも嫌だった。

 六等星の大人二人は、一人しかいない採取職を大切にしているのだ。

「さざれ石は、取り扱いをしている店がたくさんあるから、大丈夫」

 葵は、あるだけでいいならと書き込む。すぐに、それでいいと返事があった。

「本当だ」

「無理なのは、断わっているから、あまり気にしなくていいよ」

「わかりました。でも、たくさん採れる場所は知りたいです」

「じゃあ、行こうか」

「いいんですか?」

「もちろんよ。私も欲しいものがあるし、この間、風魚が渡って、雷雨もあったから、ちょっといいものが採れるの」


 翌日。

 三人は、ちょっと遠くの公園にいた。

「いい天気ですね」

 静は空を見上げた。

 青空には、雲一つない。

 こちらの公園には、何もない。ただ、草原と背の高い木が生えているだけ。

 そして、足元には、色とりどりの石があった。

「今日はのんびり採取しよう。春先だし、花が咲く前の四つ葉のクローバーも、見つかるかもしれない」

 葵は二人に箱を渡しながら言った。

「花が咲いちゃ駄目なんですか?」

「お守りとして持つなら、咲く前がいいとされてるね」

「初めて聞きました」

「そんなものよ」

 三人で少し話して、お昼まで自由にすることになった。


 一人になった静は、木が生えている方へ行った。根元を見ると、形も大きさもバラバラの石がある。

 静は、青い石を拾ってまず、小さなバケツにいれた。

 はじめに、青い石だけ集め、それなりの数になったら、ペットボトルの水で洗い、丁寧に乾かして箱にいれた。

 同じように、赤や緑の石を集めた。

 昼前には、大体欲しいものを集めたので、静は手を綺麗にして、リュックから、お茶を出して飲んだ。

「兄さん!」

 黒髪の少女が、満面の笑みを浮かべて、走ってくる。

「凪、久しぶり」

「今日はついてきたの」

 えへへと笑って、腕を組み存在が薄くなった兄を見て、あのクソ野郎をもっと強く殴ればよかったと、心から思う。

「そっか…」

「兄さんがくれたお守り、ちゃんとつけてるわよ」

 そう言って、雪の花のブローチをみせた。

「似合ってるよ」

 優しい声。それから、二人は互いのことを報告し合っていると、金髪の少女がやってきた。

「凪さん、そろそろ時間ですわよ」

「兄さん、同じセフィロトツリーのエリー」

「初めまして、兄の静です。凪がお世話になってます」

 穏やかな口調で挨拶され、エリーはうろたえる。凪の兄というから、もっと、男らしい人を想像していた。

「は、初めまして、セフィロトツリーのエリーと申します。…お兄さんは戦闘職では、ないのですか?」

「ぼくは六等星で、採取職をしています」

 時間は、大丈夫ですか?と問われて、ハッとした。

「そうです。凪さん、時間ですわよ」

「じゃあね、兄さん」

 気をつけてと、穏やかに手をふる静を見て、歩きながら言う。

「とても、優しそうなお兄さんですわね」

「優しくて、好きだけど、あんなの相手にしないで、逃げて欲しかった」

 とても酷いケガをして、友を救うために命とマナを分けたのだと聞いた。

 凪は病室で眠り続ける二人を見て泣いた。

 二人のケガのひどさと二人が足止めしなければ、コ゚ーストが表側に言ってしまっていたことも。

「そうですわね」

 それしか、言えなかった。 





  

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