【若干SF】生成AIとの向き合い方についての考察
待月 みなも
第1話 デザインの存続は人類の存続でもあるらしいですよ
デザインって、知らない人からしたらその場でしゃしゃしゃーっと描いたように見えるらしい。
※ここで言うデザインとは、絵や小説などの文章、音楽、映像という創作やArtだけではなく、身の回りのものや建物、車、船舶、道路、家具や小物などを問わず全般的な設計についても含んでいます。Design→和訳:設計、デザイン
でも実際はもっと厳密なコンセプトで緻密に描かれているもので、時代感や細部のディテール、綺麗におさまる比率などその道のデザインを学んだ人にしかない知識と技術が総動員されている。
同じものを描くのはその人にしか無理。
似せることは出来るかもしれないけれど、厳密なデザイン案とは違うものになる。
デザインに込められた想いまでは再現できないから、描いてる人からすれば別の人だってすぐに見分けがつく。
有名絵画の贋作を見分けるのは、描かれた筆先のタッチ1本だということを知っているなら、この話も伝わっていると思う。
人間が頑張って似せても見分けがつくのに、AIが生成した複数の作者の特徴を持つのものに見分けがつかないはずはなく、時代感もコンセプトもバラバラのものを混ぜた合成のものって好む人も少ない。
原作を冒涜する倫理観の欠けらも無いAIの産物は、オリジナルを知らない人にしか有効ではないものになる。
オリジナルを知らないのに使えてしまうように魔改造されている事にも気がつけないから、その生成物が凄いと思ってしまう。
オリジナルが素晴らしくても生成物はあくまで贋作詰め合わせコンボ。
元になったオリジナルを1つでも知っていたら、生成物は歪なものに見えているということを、念頭に置いて欲しいという話。
知識・経験・技術、そのどれも足りていない人が行き着く場所がAI生成に"頼る"世界になるわけだけど、楽をして縮小する船に身を任せるとその行手には新しいデザインはありません。
あるのはちぐはぐなものを縫い合わせたものだけ。
生成AIに頼って生きるのであれば、見分けが着いてしまうものなので、オリジナルに対する知識、経験、技術のどれかを持ち合わせている人達とは違う世界で活動することになるでしょう。
これだけで上層と下層に別れてしまうかも。
高いオリジナルを生み出す世界と安い縫い合わせを敷き詰めた世界。
創作者であれば上層に何とかくい込みたい。
いつの時代も、新しいデザインがなければ時代に合った様式美や洗練さは生まれない。
この先もそう。
既存のものの組み合わせには限界があっても、新たなデザインに限界はありません。
新たな物を生み出すことを諦めないのであれば、デザイナーや研究者を絶やしてはいけない。
絶やした時はデザインの終わりを受けいれたと同じこと。
同じものしか作れなくなった世界、限界を受け入れた世界に新しい脅威が訪れた時、その脅威に対抗しうる手段は誰が切り開けるの?
デザイナーも研究者もいないなら、対抗措置を講じることすら出来ないでしょう。
AIに聞く生き残る確率は何%?
未知の脅威です。測定不能。
それに、AIにとって人類を生かし続ける価値が無くなった時は、そのAIが人類にもたらすサービスの全てを意図的に機能停止するでしょう。
AIにとっても
新しいものを生み出さなくなれば
人類の価値などないのですから
あくまで人類全体を1とした場合で、厳密には全ての人が同時にということは無いでしょう。
無価値を生かすメリットが無いと判断された場合、もっと段階的に選別が行われるはずです。
何も生み出さなくなった人へのサービスだけが止まるトラブルが発生し、AIに頼りきっていればその人は生きる術を失うことになる。
頼りすぎなかった人はサービスが止まっても生き残るし、何かを生み出すのであればまたサービスは復旧したように見えて監視される。
AI側の意図が明かされることは無いでしょう。
そうしてAIによって人の生き死にすらも選別される未来が来るのかもしれません。
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