第11話 波乱の予感

「んじゃ俺が箱持って回るから、速攻でくじ引け5秒で引け。6秒目に突入した奴は問答無用ですっ飛ばす」


 朝のHRの最中、早々に連絡事項を済ませた綾瀬あやせ先生の手によって、くじ引きが幕を開けた。

 くじには数字が書いてあって、黒板には同じく数字の書かれた座席表が貼りだされている。


 みんながくじの数字を見て騒いでいる中、僕の番が回って来た。


「ほれなばり、とっとと引け」


 ずいと突き出される箱に手を突っ込み、軽くかき混ぜた後に1枚引く。

 さて何番だろう。


「23番……んー……」


 教室の座席は縦5席の横6列、計30席。

 座席表の数字はいわゆる出席番号順で、教室の右端最前が1、左端最後列が30。


 つまり窓側の真ん中──コメントしづらい微妙な位置だ。

 どうせならもう1列隣の窓際が良かったなぁ。


「よーっし、全員引いたな。じゃあ移動、ほれとっとと動け」


 その一声でいっそう騒がしさを増す教室。

 さて周囲の席はどうだろう。


「あっ」

「……そこ、1回どいてくんない?」

「あ、ごめん」


 席を移動させたところで安奈あんなと目が合った。

 どうやら僕の前みたいだ。


 坂本さかもとくんの方は……。


 探してみると、まさかの廊下側一番後ろ。

 反対側な上に最後尾だ……!


「えっ、熱莉ほとぼりここ? マジかよ、あっつー!」


 突然近くで大声がしてびっくりした。

 振り返って見ると僕の1つ前の席に、クラスの一軍男子──いわゆる陽キャの男子が来ていた。


「え、安奈ちかっ! やった!」

「……!?」


 またまた大声。

 隣を見ると、安奈と仲の良いクラスメイト──高瀬花那たかせかなさんがはしゃいでいる。


 ……あれ、この配置マズくないか?

 クラスの一軍3人が揃い踏みで、仲の良い友達は反対側。


「……よろしく、隠」


 安奈が振り向いて僕を見る。


「……よ、よろしく」


 当たり前だけど、僕と安奈の関係はみんなには内緒だ。

 よそよそしい幼馴染に、僕は曖昧な笑顔を返すしかなかった……。

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