高校教師 佐々木蓮
様々な職業がある中で、数年前から
売春防止法がなくなり対価を得る目的の性交為が国で認められた。
性行為を職業とし、なるためには心理学やコミュニケーション能力、健康科学など幅広く学び筆記試験と実技試験をパスしなければ免許を取得出来ない。
順調に仕事が出来れば年収数億円ぐらいは軽くいくらしいが本当のところはよく知らない。
売春癒師が増えるのと反比例して性犯罪が減り今ではほとんど卑劣なニュースを聞かなくなったのはやはり売春癒師のおかげなのかもしれない。
メディカルセンターの様な清潔で明るい真っ白な建物の個室で1人ずつ問診し好きな売春癒師を選び性交に及ぶ。
売春癒師には性別関係なく7歳から79歳までが在籍可能で7歳から17歳まではAIロボットとなる。
とは言ってもほとんど人間と見分けはつかない。
人間かAIか、男か女かなんてどちらでもいいし今更誰も気にするところではない。
売春癒師の利用には保険がきくので3割負担となりそれほど高いということはない。街中何処でも特に駅近くには必ずその施設はある。大きな看板も出ていたりするので分かりやすく利用しやすい。
そして私もたまに利用する。
両親共に高校教師と言う環境に産まれ育ったせいか、それとも生徒に頼られ威厳のある父親に憧れたせいか、子供好きだったこともあってすんなり私も教師になった。しかし現実はどうしたって厳しい。
生徒との普段の会話にさえ気を使い、上司と後輩に挟まれ、さらには生徒の親が口を出してくる。
鬱病にでもなるのではないかと思い心が折れかけると体までガタがくる。胃がキリキリと痛みだし我慢出来ない程でもない鈍い痛みが1日中体を支配する。そのうち便秘と下痢を繰り返すようになる。青白い顔を隠すため毎朝顔に化粧品を塗りたぐり健康的な薄いピンク色のリップを塗る。
いっその事倒れて気を失ってしまいたいとすら思う時もある。気付いた時には病院のベッドの上、という妄想を何度しただろうか。しかしそうなったことは1度もない。イメージトレーニングは十分なのにそんなに弱くない私の体は一生懸命耐えようとしてくれる。
もう何年も脳と体と心が上手く噛み合わずバラバラの状態だった。
そんな感じで毎日体調不良の教師生活を送っている中、年に1度の人間ドックの時思い切って医師に相談してみた。毎年同じ顔馴染みの先生なので多少の安心感はあり日頃の愚痴が堰を切った様に出てきてしまいバラまいた。
恥ずかしさと大人気なさと自分の弱さが私の顔を紅潮させたがいつもの医師は顔色一つ変えずいつものトーンでこう言った。
「紹介状書くから、持って行ってごらん」
ここで貰った紹介状を大事に握りしめ向かったのが最初だった。
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