16


 スヴェイズはぞっと血の気が引き、ふるえる手でエイルの頬へ触れる。


「……これ、どうしたの?」


「ああ、これ? ちょっとぶつけてさ。……それよりも、ローブも着ないで森の外まで出て来るなんて──」


「ローブなんてどうでもいい!」


 今まで一度だって声を荒らげたことのないスヴェイズに叫ばれ、エイルは口を閉じる。


「ぶつけたなんて嘘だ。……何があったか正直に教えてくれ、エイル」


 真っ直ぐに見据えて言えば、エイルは俯いて語り始める。


「……スヴェイズのことを、悪く言うやつがいたんだ。だからぼく、ついカッとなって"何も知らないくせに勝手なことを言うな"って怒鳴った。そしたら、」


「殴られたのか。……きみは、殴り返したの?」


 エイルは弾かれたように顔を上げる。


「そんなことしねーよ! 信じて、スヴェイズ!」


「ああ、信じる。きみは絶対にそんなことをしない、優しい子だ」


 スヴェイズは殆ど同じ位の身長のエイルを力強く抱き締めた。

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