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 エイルはスヴェイズから文字の読み書きや計算、そして草花について教わる。新しく知識が増えていく勉強がエイルは大好きだ。



 ある日、エイルはスヴェイズと手を繋いで薬草探しに出かけた。その折スヴェイズは薬にならない花をバスケットへ入れた。

 館へと戻ると、男はその花を玄関前にある小さな石碑の前へと置く。そして遠い目をしていつになくぼうっとしていた。


「これってなんなの?」


 スヴェイズの寂しげな横顔を見上げエイルは問いかける。


「これは"お墓"だよ。……この下におれの母さんが眠ってる」


「おにいちゃんのおかあさん?」


「……もう200年以上前にね、亡くなったんだ。人間にしては長く生きたけど、最後のその時までおれをひとりにすることを悲しんでいた」


 エイルには"亡くなる"という意味がよく分からなかった。だけど、


「おにいちゃんはひとりじゃないよ、ぼくがいるから」


 ふるえるスヴェイズの手を、エイルはそう言って強く握り返した。

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