第3話「第一試験の開始」
鳴花が開示するための決心を持って俺たちに異術を明かす。鳴花の場合だと著しく発揮される戦闘スタイルが偏っているけど、最大限に活用する技術が身に付けられた時の強さは抜群だった。それが次で明かされる。
「私が扱える正術は【鋼鉄化】だけ。他に霊術なら掌から急激な圧力変化が起こった際の圧力波を放つ【衝撃波】とかね? それと完全に扱い切れる訳じゃないけど、天術の【アクセルギア】が個人術式だよ? 正直天術に関しては移動速度を上昇させても体術と合わせられない点が最も傷かも。けど、真っ直ぐなら事前に停止を踏まえて意識すれば何とか使えるかな? ちなみに私は近接戦闘が得意だよ!」
最後の開示を終えた鳴花が後に添えた情報から整理した時に体術を活かした戦闘が得意だと想定できる。本来なら速度調節に特化した【アクセルギア】が活用された場合のバトルセンスは計り知れなかったはずだ。けど、それが発揮されるタイミングを今後に回しても問題はないと判断が下せる。それ以上に今から行われる試験で合格しない限りは彼女が抱える問題を解決する最善の道が開けない。それを踏まえて第一試験は落ちる訳にいかない一戦となる。
「取り敢えず全員の異術が分かった時点で作戦会議するよ? まず三人は仲間を見失わない距離で戦って行く方が良いんじゃないかな?」
「一理ある。他にどんな奴が参戦しているのか分からない中で単独行動は禁物だと言える。ここは相手が分断して離れてしまった場合を除いて固まって行動しよう」
「けど、実際に昴は召喚獣が扱えるんでしょ? それなら二人と残りと召喚獣を一緒に行動させるのは駄目なの?」
「召喚獣が一人で動く奴に付いて行かせて分担するのか? それは少し欠点が幾つかある。一つ目は召喚獣が一定以上のダメージを受けた時に現場から消えてしまう。二つ目は召喚獣の行動範囲が術者と一定の距離を空けられない。空いてしまった場合は術式が解けて顕現を続けられなくなる。残る欠点は行動範囲だけじゃなくて召喚している間は俺の霊力が削られる。主に召喚術を行使する際の原動力は術者が自身の持つエネルギーから選択して消費が出来る。だから、俺は霊力から召喚した時の構成エネルギーとして供給させている。つまり、召喚獣が活動している間は霊術が早い段階で使えなくなる危険性が伴う」
召喚獣を駆使して戦うスタイルは確かに便利だが、それと同時に別の面で代償が現れる。、それを踏まえた上で召喚術は使用する。
実際に召喚獣は大きなダメージが加わった瞬間に顕現が解除される。つまり、召喚獣と共に行動する方は万が一の確率で召喚獣が顕現を解除された後が厳しい状況下に陥る。召喚獣の存在が共闘する者を大き補う力が発揮されていた場合の不利が生じる。それに面した時点で召喚獣が不在になった後は致命的だと言える。
(召喚獣を利用した分担作戦は正直良くない。効率性を考慮した上で試験に臨みたい中で召喚獣の活用しない手段を通せば俺の霊術が長期的に扱える余裕が生まれる。ならば、三人は共に行動して協力する作戦が有効だろ!)
「悪い。やっぱり、三人が行動を共にする策が良いと思う。実際に他がどれだけ有能だとか知らない状態で分担は無理だ。そこは三人とも行動は一緒が適切だと思えるんだけどな?」
「そこまで言われると反対は無理かも……。そんな意見が出たから私は昴に賛成だな?」
「しょうがない。分担して戦うことが最善だと言う根拠が述べられない時点で三人が協力するスタイルは成立した作戦何だよね? 良し! 絶対に勝ち残るぞ!」
「「おう!」」
すると、作戦が纏まってどんなスタイルが良いか決まったところで試験開始のアナウンスが鳴る。それが聞こえて来た時から俺の内心は緊張感を高めた。しかし、ちゃんと敵と向き合う覚悟が出来ている内面が今回の試験を勝ち上がる気持ちとして持った。
(取り敢えず他の二人が付いている。だが、俺がちゃんとリードして戦わないと入学試験を合格することは困難だ。それに使えなかったなんて思われたくないからな!)
『それでは配置が済んでいる皆様! これから第一試験を開始します。グループ内で連携しながら敵を討つ取って第二試験の進出を決めてください! それじゃあ五秒カウントで試験が始めますね!』
「いよいよ始まるぞ!」
「どんな奴でも蹴散らしてやるよ!」
「全力で頑張るね!」
開始三秒前を迎えた頃に俺は走り出す態勢で構えた。他の二人も同じ態勢が作られて走る準備は出来た。
カウントが一秒を切った時から俺たちが微妙に行動を開始する。開始が許されたタイミングで俺たちは駆け出した。戦場を駆ける三人が同じ道を進んで行くと目前に敵が三人纏めて出現する。その瞬間を素早い反応速度と通常攻撃を即座に仕掛けて行った。敵の一人が反応に遅れて防御が出来なかった。
まずは一人目をぶっ飛ばしてから残る二人にも行動が起きた。鳴花が掌から俺が倒した以外の敵を目掛けて衝撃波を放つ。そこで放たれた衝撃波が直撃した敵を吹っ飛ばす。協力すぎる一撃が決まって気絶する様子は鳴花が確認を終えていた。
「おっしゃぁ!」
「よぉし!」
敵が二人も撃退できた瞬間を目撃した海子は遅れてしまっていたが、他が倒してから怯んで次に移れない状況下で最後の一人を容赦なく攻撃が下される。
「これでも食らえ!」
一気に海子は掌を地面に着けてから氷結を放った。地面が凍って行く先に立っていた敵の足元まで到達する。すると、地面を通って足元から氷結が上に向けて広がる。最後に氷結は全身に届いて動けない状態を作った。
「まずは一グループを全滅させたね! この調子で潰して行こう!」
(特に海子が一番ヤバい攻撃だったな? 氷結が敵に及ばせられるような方向性を安定させるためになるべく至近距離から放って決めたみたいだ。鳴花の方でも衝撃波から生じる大きなダメージは相当の防御力を持っていないと耐えられない攻撃だと言える。後は俺が足を引っ張らないような活躍を見せられると良いかも知れないぜ!)
内心で思ったことを秘めた状態で再び走り出す。敵が見付かった時は即座に攻撃して倒せる準備を最初からは施せることが事前策として不可欠な要素だと思考が回る。
そして次の標的を探すために試験が行われている範囲内の敷地を駆ける。次々と遭遇する敵を三人の力で薙ぎ倒して回った中で四グループほどの全滅が俺たちが担って成立した。
残るグループを倒したい気持ちが三人を注意深い意識を敵の発見に繋げる。そろそろ残ったグループが強者の集結した者たちなら俺たちは気を抜かない意識を高く持って駆ける。
「これでグループは激減して来たと思われる。だから、今後は強敵が出現して倒される可能性は高い。用心して臨め!」
「了解!」
「分かったよ!」
そんな風に俺たちが立ち止まって最後と思われる注意を促した時だった。俺たちは建物の壁際に隠れていたところを不意に敵が襲撃して来た。
「用心するならちゃんと隠れた上で言えよな!」
「——なっ⁉」
ドカーン!
急に敵から凄まじい一撃を受けるところだった。仕掛けられた攻撃をギリギリで回避してダメージが負われることはなかった。しかし、こうも簡単に接近を許すと今後は少し不安が生じる。
そして急襲を仕掛けて来た敵は一人で三人を狙っているような一言を吐く。どうやら他に仲間は見当たらない時点で一人の襲撃が窺える。
「良かったじゃねぇか! 急襲は大抵じゃあ避けられない。つまり、回避が出来た理由はお前たちの実力なんだろぉ‼」
「相手が三人でいるところに一人は危ないんじゃないか? お前がどれだけ自信があるかなんて知ったことでもないだんだけどなぁ!」
俺がすかさず手の形状を作った影を発生させる。その発生させた影は敵を拘束するために伸びて行く。その影が敵の身体を縛り上げる前に術式を行使した上で全て弾いて見せる。
「はぁっ!」
「弾かれた⁉ さすがに終盤を迎えた今は強敵しか残ってないじゃん。けど、攻略の糸口はすでに掴めているんだよぉ!」
影が拘束を失敗して敵の行動が封じられなかったが、違うところから鳴花は至近距離で衝撃波を放った。勢いの余った威力で衝撃波は放たれて敵は吹っ飛ばされてしまう。
「ナイス連携! 二人とも良いんじゃないの?」
「油断するな! まだ来るぞ!」
「——えっ⁉」
鳴花は油断して背後の敵に気付かないで攻撃を許させてしまう。地面に転がった鳴花は致命傷に至らない攻撃が繰り出されて大きなダメージを負わないで済まされた。
不意の攻撃が別方面から下されて少しだけ焦った。まだ立ち上がれる可能性を秘めている状態で今度は殺害される結果を心配した。そんな一面を見せられた後は普通なら周囲を注意する意識などは持てないはずだった。しかし、俺は注意が鳴花に向いていたはずが、迫り来る二人の敵から仕掛けられた攻撃は防げた。
「悪い! お前たちの攻撃は予測済みだぜ? それと別方面から来た攻撃に気を付けろぉ!」
「「——なっ⁉」」
「そこだぁぁぁあああ‼」
俺が襲って来た二人から攻撃を防御した後で即座に駆け付けた海子が片方を目掛けて凍結させた拳で殴った。凍った拳は硬度が増強されている。そこから繰り出される殴打は凄まじい威力を生み出した。
そして海子は片方に続いて反射運動を利用した切り返しで残った一人にも強力な一撃を加えた。殴れた二人が意識を保っていられなくなるほどのダメージが入って転がる。
(隙を窺って襲って来る奴らは仕留めた。が、鳴花が倒されている可能性が考えられる……! もし、倒されていないなら早く鳴花と合流したい。苦戦中なら合流して片付けないと鳴花は倒される……!)
敵を撃破した後ですぐに意識を鳴花がいた方角に向ける。視覚に鳴花を捉えてから反射運動で駆け出す行動に切り替える。駆け出して即座に見て把握した鳴花の状況が知れた時が減速させる理由を作った。すでに鳴花が敵の撃破完了させている状況下が一目で分かる瞬間を用意していた。これで三人は敗北することはなった。
「急襲して来た奴らは全滅させた。残ったグループはどれぐらいの組が未だに脱落していないんだろう?」
「それは分からない。しかし、周辺に気を付けろ? どこで狙っているか分かる訳がないんだからな!」
「これが五組目でしょ? 残るグループたちが潰し合っているはず。だから、他が代わりに倒してくれると嬉しいかも!」
「それは山々だ。こんな楽に生き残って良いか上手く判断が出来ない。だが、他と差は付けたつもりだったはずじゃないか?」
「うん!」
とにかく俺たちは五組を撃破していたことから残った六組が違う場所で争っていると予測する。六組の中で生き残れるグループは指定された組数だけ。ならば、後のグループで潰し合っている可能性もある。
「まぁ、取り敢えず他を探そう。きっとフィールド上を彷徨っていれば自然と交戦が強いられるはずだろ?」
「まぁ、とにかく探索しないと始まらないよね!」
先を進めるために違うところも探索しよう話が纏まった瞬間に放送がフィールド内を響いた。それはフィールド内の俺たちに向けて報告するための呼び掛けだった。それが響き渡る中で第一試験が終了することが報告された。
『えー! この放送が聞こえるフィールド内で散らばった二組は速やかに出口から外に出てください。ここで二組の進出を決める一戦に決着が付きました。なので、只今の放送を聞いて出口を目指すグループは第二試験の進出です。おめでとうございます!』
「え?」
「まさか勝ち残ったよ! やったじゃん!」
「これで第二試験が受けられるね? けど、まだ始まったばかり……。だから、残りも気を引き締めて臨まないと合格がもらえない!」
これで第一試験を生き残った俺たちは次が待ち構えている。基本的に勝ち残れた理由はそれなりに素質が見込めるからだと言うのが普通だろう。だから、最終試験を残って俺が新入生として迎えられるのだと夢を掲げて目指した。
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