とあるラーメン屋の掟

シアン

第1話

俺は、仕事帰りに「博多めん太郎」というラーメン屋を見かけた。

どうやら新しくできたラーメン屋みたいだ。

せっかくだし、入ってみることにした。


内装はカウンター席が8席くらい。

今は俺以外客はいない。

普通のラーメン屋だ。

食券を買い、硬めの部分に丸をし、店主に出す。

「はいよっ!」

店主のいい声がする。

席につき、水を飲む。

ある貼り紙が目についた。

「赤い部分は食べて下さい。」

変な貼り紙だ。

店主のこだわりだろうか。

そう思いながら俺は、ラーメンを待っていた。


ラーメンが来た。

細くコシのありそうな麺、しっかりと脂の乗った焼豚チャーシュー、そして、スープはとても良い香りがする。

その真ん中に赤いタレが乗っている。

普通の豚骨ラーメンじゃないか。

そう思いながら俺はラーメンを食べた。

一口麺をすする。

うまい。今まで食べた豚骨ラーメンの中では断トツだ。

そう思いながら食べているといつの間にか完食していた。


そこから俺は週に1回はこのラーメン屋に通っていた。

勿論、そこのラーメンを残さずに食べる。

赤いタレも、焼豚チャーシューも。


ある日、なぜか赤いタレを受け付けなくなった。

そう、なぜか赤いタレを皿の端によけてしまった。

あの貼り紙にある掟を破ってしまったのだ。

店を出るとき申し訳ないと思ったが、店主は何も言わなかった。


その日の帰り、俺は普通に道を歩いていた。

ガンッ

鈍い音がした。事故だろうか。

そう思っていると、俺の視界は道に横たわっていた。

痛い。

意識が途切れた。



とあるラーメン屋。

今日も店主は骨を煮詰めスープをつくる。

店主のこだわりはスープと焼豚チャーシューだそうだ。

注文が来ると仕入れた麵を茹で、湯切りをする。

丼ぶりに麵、焼豚チャーシュー、メンマをのせ、スープを入れる。

そして、冷蔵庫からタッパーを出し赤いタレを中央にのせる。

とても美味しそうな豚骨ラーメンである。

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とあるラーメン屋の掟 シアン @HCN_solt

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