天魔人

リラックス夢土

第1話 古の神話



 古の神話。

 この世界に二人の神が降り立った。



 創造神オルシオンと破壊神エミリオン。



 創造神オルシオンは力を使いこの世界を創る。

 世界を三つに分けた。それがこの世界の始まりである。


 天界、魔界、人間界に必要な全ての生き物や生きていくために必要なモノは全て創りだした。

 そして三人の神を誕生させそれぞれの世界を治めさせる。



 天界には天界神ラーシャラー

 魔界には魔界神ザイオン

 そして人間界には人界神レオン



 だが創造神オルシオンの喜びは続かなかった。


 オルシオンと一緒に生まれた破壊神エミリオン。

 オルシオンが創ったモノを破壊していくエミリオン。


 それに耐えられなくなったオルシオンはエミリオンを自分の体に封じた。

 その影響で創造神オルシオンは眠りにつく。


 オルシオンの体に封印し損ねたエミリオンの力の残滓が「虚無きょむ」と呼ばれるモノである。

 オルシオンとエミリオンは長い眠りについたためオルシオンから世界を治めるように言われた三人の神は今も三界を治めていると神話は語る。






 桜華おうかは天界にある天使学校を今日卒業した。

 桜華は天界に置いて異質な天族だった。

 普通の天族たちは両親も同じ天族であるのが普通だ。


 天族は大きく二つに分けられる。

 「上級天族」と「下級天族」と呼ばれている。


 上級天族の中でも天帝と同じ「天翔てんしょう族」出身は最も身分の高い一族である。

 他にも「天空てんくう族」や「天馬てんま族」は上級天族に数えられる。

 下級天族は「天使てんし族」や「天獣てんじゅう族」などだ。



 桜華は下級天族の天使族出身者だったがある事故がきっかけで生まれてから10歳になるまで人間界で育った。

 事故というのは自分の両親が人間界に用事ができて赤ん坊の桜華だけ置いていくわけにもいかず仕方なく一緒に人間界に向かっていた時に「界嵐かいあらし」に巻き込まれてしまったのだ。


 「界嵐」というのは天界、人間界、魔界を行き来するときに極たまに発生する界と界の狭間で起こる嵐のことだ。

 その事故で両親は亡くなり桜華は運よく人間界に運ばれて命は助かったものの人間の年老いた男性に拾われて育てられた。


 天使族には背中から白い羽が生えているが普通は幼い頃に羽の消し方の術を教わる。

 だが人間に育てられた桜華には教える者がいなかったので羽が生えたままだった。


 桜華を拾ってくれた年老いた男は森番を仕事にしていたため人の目を避けて桜華を育てることができた。

 桜華にとってはその年老いたカーク爺さんが唯一の家族だった。

 そうあの事件が起こるまでの間は。



 桜華が10歳の時にいつも通り水を汲みに行ったのは覚えている。

 だがその後の記憶がない。

 そして気づいたら天界に連れられて来ていた。


 自分を天界に連れてきたのは光安こうあん伽羅きゃらという天翔族の二人だった。

 光安と伽羅は偶然桜華が放つ天族のオーラを感じ桜華とカーク爺さんの家にやってきたのだという。


 そしてカーク爺さんから桜華を引き取って欲しいと頼まれて天界に連れてきたのだと伽羅は教えてくれた。

 突然カーク爺さんから引き離された悲しみは大きかったが光安は天族が人間と一緒に暮らすことはできないのだと言った。


 確かに天族を示す人間には無い背中の羽を見られたら大事になっていただろう。

 見世物として売られたりしたかもしれない。


 カーク爺さんもいつも言っていた。この世の全ての人間がいい人間であるとは限らないと。

 だが最後にカーク爺さんを見た記憶も光安たちに会った記憶もなぜかなかった。


 伽羅は「それは初めて界の狭間を通過したせいかもしれない」と言った。

 時々界の狭間の気と相性が悪い者がいるらしくそういう者が界の狭間を通るとなんらかのダメージをくらうことがあるらしい。



 そして桜華は伽羅の館に住みながら天使学校に通うことになった。

 始めは自分の羽も消せない桜華に対して周りの反応は冷たかった。


 いじめはなかったがそれは桜華が光安と伽羅という上級天族の天翔族の庇護下にいたために過ぎない。

 だから桜華は天使学校の勉強を一生懸命にやった。


 そして遂に今日天使学校を卒業し、天使として働けるようになったのだ。

 働き口は光安の率いる天使族の仕事を受け持つことになっている。



(ようやくこれで光安様や伽羅様に恩返しができるわ)



 桜華は意気揚々と自宅まで帰って行った。




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