アゴラ・グローバル

@gaaaaaaaaaaasuuuuuuuuuu

第1章 不確かという罪 1話

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 一昨日発生したK市M区における集団自殺事件につきまして、警察は、何らかの特   定な思想をもった集団が集い、自決に挑んだとの情報を入手した模様です。しかし、依然として捜査は難航しています。ただ、一部の関係者からは、自殺に見せかけた、戦闘行為かもしれないとの情報もあります。現在のところ、亡くなられた方の中には、行方不明生徒を抱える私立二岳ふたがく高校の生徒・教職員が含まれているとみられ、警察は校長の橋爪氏、会長の藤原氏を取り調べる模様です。尚、藤原氏につきましては、同市で起きた学校教育…


 この世界では、結局それは集団自殺だった。


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「おい、アラタ、見ろよこれ。」


中休みの10分間にも関わらず、ジェームズは僕にアイドルの動画を見せた。


「いいよなー。ユキチャン。俺らと3つしか年変わんないんだぜ。知り合いたいな ー。な、付き合えるかな?」


・・・


「付き合ったら、この胸、触り放題だよな!ハハハ」


・・・


「胸だけじゃねえぜ。もっといろんな」


「ちょっとジェームズ」


クラスの元気な女子が僕たちを睨んでいる。


「そういうこと、大声で言わないでくれる。数学の準備しなよ。」


「ごめんごめん。な、アラタ、」


小声で耳打ちする。


「サクラ、うぜーよな」


 僕は動かない。それが僕の唯一許されていること。


 高校2年生になって、僕が得た知識は世界史のそれと数学のそれだった。他の教科に興味は抱かなかった。僕の席は一番窓側。多分、クラスの中ではましな方の席。

 ジェームズはこのクラスの中に馴染んでいる。外国人だけど、別に日本語を話すから不便はない。


「はいそれでは今日は三角関数を…」


 平凡だ。それでいい。勉強をそこそこして、家に帰ってご飯を食べればいい。毎日が、何もなかったように過ごせばいい。それでいいんだ。それで。 


「アラタ君」


 後ろの元気な女子が話しかけてくる。


「ねえ、黒板見えないんだけど」


 黙って窓にへばりつく


「フフ。だっさ」


 僕は黙る。それが嵐を何事もなかったようにする唯一の方法だから。


「ツーか。なんで黙ってるわけ?きもいんだけど」


 その鮮やかな唇を持っているなら、もっと優しい言葉を使えばいいのに。

 僕は黙る。


 「…つまんねーの」


 「はいそれでは、今日の授業は終わり。」


 平凡だ。


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「なーアラタ。外で遊ぼうぜ。」


 ジェームズの誘いに首を振る。


「おまえさー。そろそろそういうのやめた方がいいぞ。友達いないだろ。」


 いなくていい。君みたいな存在と僕の間には明確な壁があるんだ。しかもそれは、越えてはいけない。そして、人の気持ちを侵害してはいけないんだ。だから、波風を立てない方がいい。


「おい。」


 遠くの声で肩が強張る。語気の強い人は苦手だ。人を攻撃したくてたまらない人の声。


「お前ら、しゃべるな。ぺちゃくちゃうるせーんだよ」


 2人は黙る。さっきの中休みで流していたアイドルの動画が、今度はジェームズの声に邪魔されていない。


「お前らみたいなゴミが、そんな動画見ていいはずないだろ」


 2人は黙る。僕は耳の方と、へその上が熱くなる。ここにいたくない。ここにいたくない。消えたい。消えてほしい。僕は黙るから、何もしないでほしい。


「きもいんだよ!」


 机を蹴る。僕の位置が少しずれる。キャっという音が少し聞こえた。やめてほしいと思った。耳が熱い。


「なあ、ヒロキ。」


 ジェームズが床を見たまま話しだす。僕なんかよりとても大きな身長だから、少しだけ、クラスの威張る男より強そうに見える。


「おまえ、いつまでそんなダサい生き方してんの?」


「は?してねーし。お前あんま調子乗んなよ」


 そいつはジェームズに攻撃をしない。なぜだろう。彼は弱くないのに。


「外人が、あんま喋んな。そうっすよね、イマルさん」


 この学校で一番強いその男は、ゆっくりと僕らの方向を向き、そのまま違う方向を向いていたと思う。イマルと呼ばれる、肉食獣、このクラスの、一番上。

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