初めての探索証
試験場に向かって自転車を漕ぎながら、昔のことを思い出す、俺が探索者になりたいと思ったその原点、力が欲しいと願ったあの日のことを
10年前の2012年4月29日、俺の住んでる町で大規模なダンジョンブレイクが起こった、そして父さんは俺の目の前でオークに棍棒で頭を潰された、母さんは俺の目の前でゴブリンに食べられた、未だに頭の奥で魔物の笑い声が聞こえてくる、父さんの頭の潰れる音、母さんの悲鳴、
その光景が頭に張り付いて離れない、俺に力があれば父さんと母さんを守れただろうか、あのオークとゴブリンをぶっ殺せるだけの力があればあの場から無事に逃げれたのだろうか
そんな事を考えていると試験場のビルに着いた、時計を見ると6時48分、受付の12分前、周りには誰1人としていない、一番乗りって訳だ
そうして自販機の横に腰を下ろして水を飲み、スマホでダンジョンについて調べながら受付のときを待つ
入り口の方で何やら音が聞こえる、向かってみると看板を立てて机を設置してるようだ、時刻は6時59分、もういいだろうと思い準備をしてる人に声をかける
「すいません、受付はここで合ってますか?」
「あ、はい!こちらで合ってます!身分証と申込書を提出してください!」
そう言われてリュックの中から学生証と申込書を出す
「確認が取れました!こちらの番号札を持って中の席で少しお待ちください!」
身分証と番号札を渡されて中に入る、入り口を通った瞬間空気が変わった、見られてるそれにこの重苦しい空気、値踏みされているような感じだ、そんな気持ち悪い空気の中椅子に座る。
そうして10分ほど待っていると
「受付番号1番の方、こちらの1番の道へお進み下さい」
目の前で受付嬢が手を振ってこちらですよとアピールしながら呼びかけている、席を立ち示された道に向かいながら周りを見る、ざっと見ただけでも10人ほどはいるだろう。
(やっぱり早くに家を出て正解だったな)
そうして扉をぬける、そこには黒くて大きい玉とそれに繋がった変な機械にさっきの受付嬢、そしてガラスの向こうによくわかんない人が2人
「こちらが魔力測定器になります、こちらの液晶の上に手をかざしていただけますとあなた様のステータスが液晶に表示されます、その後、別室にて軽い試験の後、探索証交付となります。以上で説明は終わりですが質問はございますか?」
首を横に振って液晶に近づき手をかざす、そうすると液晶に文字が出てきた
名前:黒崎 悠真
年齢:18
レベル:1
ランク:E
ステータス
体力:247
魔力:203
筋力:122
器用:86
耐久:131
知力:73
精神:174
スキル:
称号:「大量のマナを浴びた者」
(体力と魔力は平均が200、その他は100だからまあまあいいな、スキルは今後身につくからいいとして、この称号はなんだ?意味がわからん今までダンジョンに行ったことないからマナなんて浴びるわけがないんだが、それに名前が旧姓になってるしこの機械不良品じゃないのか)
そんな事を思いつつ案内されるがままに次の部屋へと進む
「こちらがあなた様の探索証になります。では良き探索者ライフを!」
試験は簡単だった、一般常識を問われたのでそのまま答える、ただの作業だった
こうして俺は待ちに待った探索者となった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます