第2話 利権の庭
私はF市の土地区画整理組合の理事長をしていた。
貼り付けた笑顔と巧みな言葉で勝ち取った地位だ。
「地域のために働く」などと口では言っていたが、
本音は違った。
新しい道路が通る。
どこに商業施設が建つ。
その情報は、金よりも価値があった。
私はこっそりと地図を引き直し、
自分の畑だけを「将来有望な土地」として残した。
やがてそこにショッピングセンターが建ち、土地価値は3倍に膨れ上がった。
何も知らない人たちから、私は「地域の発展の功労者」と呼ばれるようになった。
笑顔で感謝されながら、
私は心の中で、腹を抱えて笑っていた。
だが、反対していた住民たちは、
私の家の前で小声で噂をした。
「理事長さん、よう儲けたな」
「人の土地を笑顔で奪う人間が、一番怖い」
笑顔で人をだます技術。
それを私は「生きる術」だと信じていた。
けれど、今では思う。
あれは「自分をだます術」だったのではないか、と。
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