第20話 うしき様の作品

企画にご参加ありがとうございました。

基本、お仕事ものは好きなので出だしから楽しみでした。


では早速…



「残念ですが、現在の状況ですと御社への融資は不可能です」

「そんな、ずっと取引してきて、今さら梯子を外すって言うのか。あんたらは……」

「申し訳ございません。当行での審査の結果ですので」

→銀行の融資担当と自営業者ってことですかね?


 無機質に、機械的に処理をする男に対して若手は畏怖を越えて嫌悪感すら覚えた。

→登場人物が多く、主人公が一旦退場するので、名前がないのはちょっとわかりづらかったです。上司なのか先輩なのかとかも。


「あいつはな、真面目なんだよ。何事にもな。今日だってあの面談のあと、資料室で書類ぶちまけて暴れてたんだぞ」

「え、あの人がですか? 怒るところなんて想像できないですよ」

「不器用なのさ。自分で納得できない業務だろうと、あいつはこなすのさ。本心を隠してでもな」

→男が何について怒っているのかがいまいちわからず。ずっと担当していた老人に融資ができず、担当もかわるということに怒っている?「こなす」が上手くやるイメージなので、不器用とのミスマッチが気になります。


 若手は「へぇ」と相槌を打ち、上役の顔を見た。パソコンに照らされて浮き上がるその表情は、いつもより感情が際立って見えた。

→このあと上役も出てくるのかと思いきや、出てこなかった!


周囲から見れば、フラストレーションの発露、とすぐに受け止められるだろう。

→具体的な描写は雰囲気があって良かったです。


 その時、男の背後でドアがそっと開く気配がした。娘がトイレにでも起きてきたのかもしれない。ひっそりとしたリビングで、男が何をしているのか、興味本位で覗いてみたのかもしれない。

 娘はその時見た光景に驚いただろうか。普段は強く、穏やかで優しい父が、アルコールを前にして頭を抱え、うっすらと涙を浮かべる姿に。

→あの老人との仕事のことへの気持ち?


 そこで男はグラスを置くと、両手で顔を覆った。まるで子どもが泣くときのように。そして、その手で顔を二度三度とこする。

 そして、男は口元に笑みを浮かべる。

 顔を覆った手を、額へと上げ、そのまま髪をかき分けながら天井を仰ぐ。

 まるで、顔面を覆う何かを、窒息するほどの息苦しさを覚える何かを剥ぎ取ったかのように、男は爽快感と、恍惚を湛えた表情を映画の主人公へと向ける。

 ――ヒトらしく生きるってのは、大変だなぁ

 歪んだ笑顔を浮かべる男に、画面の中の主人公は微笑み返す。

→口元に笑みを浮かべる……は、仮面を剥ぎ取ったということ?そういう決意をした、という結でよいのでしょうか?



総評


他の方と被らない設定、具体的な描写で男くさい感じが出ているのは良かったと思います。


ただ、主人公のキャラクターや変化をとるのにちょっと難しいなと思うところがありました。

特に、あの老人に関わる業務と主人公との関係性が文面上は薄いため、主人公の悔しさは伝わりづらいかなと思います。

また、ラストの仮面を剥ぎ取るところですが、主人公が何を考えているのかがいまいちわからず。

せっかくの設定なので、何を書いて何を書かないかを整理するとビジネスものとして面白そうだなと思いました。

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