Ep.2|クラスの陽キャが、まさか俺に話しかけてきた件(優希視点)
🖤優希視点
………俺は高校に初めて登校し、クラスを確認した。
新しい制服の袖口を直しながら、
人混みの中に自分の居場所を探していた。
🖤優希(1組か…)
……一年生のクラスは三階のようだ。
俺は階段を上がり、なんとなくぼーっとしながら廊下を歩いていた。
一瞬…誰かと目が合った気がした。
やたら背が高くて、がっしりしていて、茶髪で……いかにも陽キャって感じの男子だった。
その横顔からもわかった。
この男、かなりの美形だった。
🖤(…あんな背が高くて、陽キャで、しかもイケメンとか…チートかよ)
……あいつは、俺とは住む世界が違うと思っていた。
そんなことを思いながら俺は1組に着いた。
…なぜか教室に俺が入った瞬間、クラスの空気が静まった気がした。
………なんなんだよ。この痛いほどの視線。
………俺、お前らになんかしたか?
🔥「よろしく〜!!」
🖤(…あのイケメン陽キャ…同じクラスだったんだな)
俺のクラスで、さっきの長身イケメン陽キャが早速友達を作っているようだった。
その様子が…俺にとってあまりにも眩しかったんだ。
俺は無意識にそのイケメン陽キャを目で追っていた。
あーゆーやつが、クラスの中心になるんだろうな…って。
あいつは俺にはない明るさで…正直羨ましくて、憧れていたのかもしれない。
そして、担任が入ってきて点呼をとり始める、
「田中亮介」
🔥「はいっ!!」
🖤(…田中、亮介か…)
俺はなんとなくあの陽キャイケメンの名前を無意識に覚えていた。
そして、
「森谷優希」
🖤「…はい」
俺が返事をした一瞬だった。
……あの陽キャイケメンと目が合った気がしたんだ。
もしかして、あいつも…?
俺のこと…見ていたのか?
⸻
休み時間。
俺は、相変わらず一人で静かにノートを開いてた。
俺は、昔から顔が怖いせいで人から話しかけられることが少なかった。
……顔で判断されたり、しかも声も低くて怖がられる要素が多かったせいで、俺は人と関わることに消極的になってしまった。
あと、確かに昔から顔はイケメンって言われていたけど…
俺は自分の顔があまり好きではなかった。
なぜなら顔だけで判断されて、中身を見ようとしてくれたやつが誰一人居なかったからだ。
そんなことを考えながらぼーっとしていたら…
🔥「(陽キャスマイル)よっ!!
俺、田中亮介!!同じクラスだし仲良くしようぜ?!」
突然、俺に陽キャイケメン・田中亮介が話しかけてきたのだ。
てか、近くで見るとマジでイケメンだな…。
顔、整いすぎだろ…。
🖤「……お前、俺に話しかけるのな。」
まさか、陽キャイケメンが俺なんかに話しかけてくるとは思わなくて、思わずそう言ってしまった。
……俺がそんなことを言っていても気にせずに、田中は俺に話しかけてくれた。
🔥「なぁ、お前、森谷って言ったっけ?どこ出身?」
🖤「…渋谷の笹塚。」
🔥「おお、渋谷区か!!オシャレタウンじゃねーか!!!」
🖤「……別に。」
🔥「(苛立ち気味に)あーそうかい!!!!」
俺が会話が下手くそすぎて、田中は少しイラついてるように見えた。
……てか、なんでお前みたいな明るい奴が俺に話しかけてきたんだ?
その時、俺の後ろの席から爽やかな声が降ってきた。
🎾「(爽やかに)おいおい〜、朝からテンション高ぇな〜!」
振り向くと、茶髪なのにどこか気品ある王子のようなイケメンが、笑顔でこちらを見ていた。
目元は丸くパッチリしていて、まるでアイドルのような顔立ちの男子。
…うわ、こいつも多分陽キャ。
🔥「お前、もしかして後ろの席の?」
🎾「俺、杉山一樹!よろしくな!……てかお前の名前、田中亮介だっけ?江戸川区出身なの?」
🔥「お!知ってんのかよ!」
🎾「ははっ、名簿見えた(笑)」
🔥「マジかよww
杉山、お前はどこ出身だよ?!」
🎾「ん?俺は文京区だよ。
お前も総武線ユーザー?
俺、毎日水道橋から乗ってる笑」
🔥「おーー!!!一緒じゃねーかよ!!笑
俺も小岩から乗ってる!!!」
🎾「同じ線使ってるなら、一緒に帰れるな?笑」
🖤(……お前ら本当に初対面かよってくらい親しく話してるじゃねえか)
そのままの流れで、その茶髪イケメン王子・杉山も俺たちの輪に入ってきたのだ。
🎾「てかさ、森谷も亮介も出身バラバラじゃね?笑
渋谷に江戸川に……俺は文京。都内なのに距離感バグってるメンツだな(笑)」
🖤「……ほんとにな。」
🔥「でも、こうやって一緒のクラスになったのって運命じゃね?♡」
🎾「いや、ポジティブすぎじゃね?(笑)」
⸻
昼休み。
俺たちはなぜか3人並んで弁当を広げていた。
🔥「なぁ、森谷は彼女いるの?」
🖤「…いねぇよ。」
🎾「いや、そっけな(笑)でも女子からの視線めっちゃ感じてるだろ?」
🖤「……どーでもいい。」
🔥「(爆笑)うっわ出た、無自覚モテ系!一番ズルいタイプじゃねーかよ!!」
🎾「いや、亮介お前もモテる顔してるけどな(笑)」
🔥「いや、一樹こそ爆モテ王子顔じゃね?!」
🖤「……お前ら二人とも、顔が良くてもうるせーんだよ」
🎾&🔥「黙れ無自覚モテクール美形が!!」
🖤「……お前らほんとバカだな。」
🔥「おっしゃあ、“森谷の初ツッコミ”いただきましたー!!!」
🎾「てか、優希って呼んでいい?俺、一樹って呼んで?笑笑」
🖤「…勝手にしろ、一樹。」
🎾「よっしゃあああ!!優希に名前呼ばれた♡」
🔥「なあ?!俺も!!!亮介ってよんでくんね?!??」
🖤「(ため息)…お前らほんと気持ちわりーな。
…ったく……仕方ねえな。…亮介、これからよろしく。」
🔥「(ニヤニヤ)おうっ!!優希!!俺らこれから親友な?♡」
🎾「(爽やかに笑いながら)ははっ!!まだ出会ったばっかなのに気が早すぎじゃね?笑笑」
🖤「(少し微笑みながら)…ほんっとお前ら騒がしいしバカだよな」
教室中の笑い声。
その時、俺は確信した。
(うるせーけど…なぜかこいつらと話してると、居心地の良さを感じてる。)
⸻
放課後。
3人で校門を出る時、
一樹がふと笑って言った。
🎾「……俺、こういうバカな会話できる奴らと同じクラスでよかったわ。」
🖤「……確かに、うるせーけど…まあ、悪くねぇ。」
🔥「(キラキラの目)だろ!?もう“バカ3人組”で決まりだな!」
🖤🎾「勝手に決めんな!!!」
でもその日から、
俺たちはどこへ行くにも一緒だった。
俺にとって初めての親友ができた日だった。
……これからもよろしくな、亮介、一樹。
🖤(……高校生活、悪くねぇかもな。)
🌈作者あとがき
Ep.2は優希視点でした!
亮介から見た「出会い」と、優希から見た「出会い」がつながる構成です。
この3人の関係がここからどう変わっていくのか、
ぜひ楽しみにしていてください🔥✨
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