ひとりごと

伴星のさだめ 古文ver

涙の玉は　夜の海に　そそぎて溶けぬ。

空はけふも　いと遠く、

星の声すら　聞こえざりけり。

未来と申す幻、

闇の底に　音もなく消え入りぬ。

ああ――

この心も　かすれし言の葉も、

すべて　見透かしたるごとく、

星の光は　ただ黙して　瞬きぬ。

「夜空のごとく　高くかかれしならば、

いと美しく、いと尊かりけむに。」

ともすれば　その嘆きの果て、

願ひは　光の粉となりて　漂ひぬ。

この瞳には　憧れのみ映り、

誰が描きし地図にも　灯る処見えず。

されど――

われ、なお探しゐたり。

君とわれとが　交わる　一点の座を。

無音の宙にて、

双ぶ星の軌は　やがてほどけぬ。

光は影を包み、影は光に融け、

境もしづかに　失せゆきぬ。

明日といふ言の葉、

気づけば　昨日に化りぬ。

それでも、われらは　今日をあきらめざりき。

さればこそ、

この物語は　消えゆく光の中に生まれしもの。

遥かなる虚空を翔けし瞬き、

夜空をわずかに染めて　淡く残れり。

君の光の内にて、

われは今も　息づくなり。

たとへこの声、

星の海に溶けゆくとも。

静けさのみぞ　世を包み、

時は廻りて　終はることなし。

君の夜に　われが光　ひとすじ残らば――

それにて、よし。

久遠の空にて、

ずっと、ずっと、、、、、、、、、、、