星の子 〜護るとは、一緒にいたいと願うこと〜

猫様のしもべ

物語0.プロローグ

星を凍らせるような、冷たい声が響いた。


「家族、感情、願いーーそんなもの、無駄だ」


天から落とされるような、重い声だった。

その声には、迷いも揺らぎもなかった。

崩れぬ秩序、変えられぬ運命さだめ、守るべき使命。

それはまるで、“想い”を否定するように、真っ直ぐだった。


「だから、見捨てたのか。ルナとティターニアの想いも・・・」


微かに震える、幼い声。

うっすらと見えるのは、小さな背中。

絶対的な存在に抗うように、腕を広げる。

胸がただ痛くて、涙でぼやけた。


(懐かしいのに、思い出せないーー)


自分を護ろうとする少年が、一歩前に出た。

息を呑むほど静かで、しかし揺るがぬ意志を宿して。

たった一言、神へ告げた。


「お前らが護らないならーー」


幼い背がぼやけていく。

目の前が暗闇に包まれる。

その刹那、少年の声が一筋の光のように、響いた。


「俺が絶対に、護ってみせる」


祈りでも、偽りでもない。

幼さを捨てた、ひとつの誓いだった。

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