第34話 柊雷 ~始まり~
「
城の軍隊で訓練をするようになって、俺は自分の強さを自覚した。
竜の力を封印しても俺は強かった。そこらの魔性たちと普通に対峙できた。
俺は闘神と呼ばれた
ある日、
「これは
長身の優男が近づいてきた。
「
「ええ、揃っていますよ」
他の幹部やその側近たちが並んで
「紹介する。
「軍関連、全てですか?」
「ああ、
「
俺は苦笑いしながら
「ふん、狙われたくなかったら頑張るのだな」
残されたオレに周りの気配が集中した。
逆に力の弱い周りの奴らの方が俺に向けてくる敵意が強かった。
俺は可笑しかった。
「何か可笑しいことでも?」
俺の顔を見て
「別に。変わった生き物だけど、よろしく」
俺の返事に
「俺、
お前、鳥、飼っているだろ?」
俺がニヤリと笑って言った。
「貴様!
側近の一人が怒鳴った。
「やめろ!」
「そう、止めといたほうがいいぜ? 俺、強いから」
俺は消していた気配を一瞬だけ解放した。
一瞬とはいえ、俺の気配を感じて周りにいた奴らが後退った。
「
「…お前、
俺の言葉に
「不思議なことじゃない。竜は相手の感情や気配に敏感なんだ。
俺は笑った。
俺は
そして、
他の幹部と言われている魔性も強いだけではなかった。
俺は
シオンが何故、俺たちを東に連れてきたのか
大陸の北西部で情勢が悪化していた。
その地は元々、北の土着の民が居たらしいが、西の魔性が攻撃し内戦が続いていた。追われた北の民が東側に逃げ込んできて東側も巻き込まれたらしい。
今回、それに乗じて西側の領主が東側に侵攻してきたのだ。
俺たちは西側との戦いをしていた。
「これは酷いな。東側の被害は?」
「目的は領主の城だ。頭を潰す。一般の民には手を出すな」
「先陣隊は周囲を固めろ。逃げ遅れたものたちの救出を。私たちは中央を進む」
俺は
俺は風の匂いが気になった。
何がいる? 何が起こっている?
先陣隊が敵陣奥へ進んだ。 その時…。
「‼」
俺は見つけた! 上級魔性の気配だ!
「
俺は叫んだ。
その瞬間、城の周辺から火が上がり、辺り一面炎に包まれた。
先陣隊が炎にまかれていく。それどころか西の民も炎に焼かれていた。
敵は各所に仕掛けをし、一斉に火を放ち丸ごと焼き尽くそうとしていた。
「何⁉」
俺は真っ赤に染まる景色に怒りが込み上げた。
敵味方関わらずに火を放ったヤツらを許せなかった。
魔性なら魔性らしく戦えと叫びたかった。
「
俺は
崖下から琥珀の飛竜が現れる。
翼を羽ばたかせ鋭い爪が現れ、戦闘モードに
体から炎が揺らめき瞳が
俺は上級魔性の気配を追った。そして、そいつと対峙し、力を放った。
俺の竜の力が、破壊の炎が、一瞬で魔性諸共全てを焦土と化していく。
俺は全てを焼き尽くした。俺の怒りが竜の力を使わせ続けた。
俺が戻ってきた時、
そして、俺に深々と頭を下げ、俺に忠誠の姿勢をとった。
それを見て周囲の奴らもみな同じ姿勢で俺にかしずいた。
城に帰還したら
「
「不必要に力は使うなと言ったはずだ」
「
すると一緒に付いて来ていた
「このクソ
俺がボソリと呟いた。
「
「クソ親父だよ! 俺たちの育児なんかしなかったくせに! 何、父親面してんだよ⁉」
俺は叫んだ。
すると、急に笑い声が響いた。
「確かに!
「ホント。
「
「
「やったー! 俺たちの勝ち!」
三人は手を合わせて笑い合った。
「あの、もしかして今のワザとですか?」
「ああ。でも途中で
「言っただろ?俺たち竜は敏感なんだ。
俺たち三つ子だ。お互いに共鳴するし、
俺たちは三人で一つだ。お互いが命なんだ」
「
「
「俺、一緒に行動しているヤツが四人いる。そいつらと一緒に居たいから」
「そんな理由ですか?」
確かに
しかし、
しかも理由が理由だ。
そして、時期がきたときに四人を自分の側近として従えて、軍のトップに
四人は人間でありながら竜の
強いだけではなく、お互いを想い、
重きをおいて、横の繋がりを重視した。
強さだけを基準とする魔性の中にも変化が現れ始めた。
盾の四人はもちろん、幹部たちみなが
幹部たちは
「
平穏な地にしたい。みんなが笑顔で過ごせる地にしたい。俺に力を貸してくれ」
fin
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