【怪談】暴走族【大阪府岸和田市.2018】


 あー、どうもどうも。


 よろしゅうお願いしますね。


 いやぁ、嬉しいなぁ、俺のDM見てもらえて。


 正直俺、怪談とか怖い話とか、そういうの全然興味ないんやけど。


 たまたまタイムライン流れてきたMさんのポスト見て、あれ? これ……って、ちょい昔のこと思い出してん。


 ええ、『イワナベミズコ』っちゅう、あの言葉。


 あれに引っ掛かったんすわ。


 で、今回DM送らせてもらったってわけや。


 ははっ、こんなん怪談っちゅうほど怖ないよ(笑)


 ただ、この件で、俺の周りで一人行方不明者出てるんで。


 今も生きてるか死んでるかわからん。


 なんかわかればいいな思って、募集させてもらいました。


 んじゃ、はじめますね。


 俺、昔ワルかったんやけど。


 あー、いきなりこんな話の入り方、引くか(笑)


 つっても、暴力団とか半グレとかそういうマジでヤバい奴じゃないよ。


 今は俺、地元の岸和田でバイク屋開いてんけど、その数年前まではゾクやってて。


 そう、いわゆる暴走族。


 改造マフラーの単車乗り回して、近所迷惑考えんと騒いどったわ。


 ちゅーても、メンバー10人くらいに、手持ちのバイクも6台くらいで半分は二ケツのチンケなゾク。


『岸和田■■■■』ってチーム名で手作りの旗作って、俺は一応チームの総長やった。


 で、これは6年前やったかな、2018年のある夜の出来事なんやけど。


 俺らはその夜、チームでバイク走らせてた。


 こんなしょぼいチーム、警察もガン無視やからやりたい放題や。


 で、一通り走り終えたところで……蜻蛉池辺りやったっけな……? そこら辺の、ある森の前でクルマ止めて、自販機でコーラやらファンタやら買って休憩がてらダベってたんやけど。


 その時やった。


 メンバーの一人にシマダゆう奴がおったんやけど、そいつが「シッ!」って。


 みんなに喋んなってジェスチャーしてな。


「何か声聞こえへん?」って。


 いきなり何言いだしてんねんコイツ思いながら耳すませたら、確かに、森の方から変な声が聞こえてきてたんや。


『イワナベミズコ』。


 最初、何言ってんのか分かんなかったけど、確かそう言っとった気がする。


 なんや、機械で編集したみたいな低い声やった。


 森の入り口は木が生い茂ってて、深夜って事もあって中が見えんくらい真っ暗やった。


 けど、確かに何か……誰かがすぐそこにいて、俺らに向かって何か言ってる、そんな気配は伝わってきた。


 正直、意味わからん状況で、全員静まり返っとった。


 その時、副長のシバタゆう奴が「お前誰やコラァッ!」って、いきなり。


 多分、どっか他のチームの悪戯だと思ったんやろな。


 森の中の声の主に、威勢良く吠えよってん。


「キショいんじゃ出てこいや!」「上等や! やったるわ腕で来んかいオラァ!」


 って。


 それに乗って、俺や他の奴等も、森の中の奴を口々に煽りまくった。


 けど、俺等が何言っても、森の中の奴は『イワナベミズコ』『イワナベミズコ』って延々それの繰り返し。


 で、遂にシバタが切れて「俺は岸和田■■■■のシバタモトユキじゃ! 男やったらツラ見せろや! ぶっ殺したらぁ!」って、いきり立って森の中に乗り込んでった。


 俺等も後に続こうとした。


 そしたら、シバタすぐに戻ってきて「誰もおれへんかった」って。


 確かに、その後みんなで森の中に入ったけど、人っ子一人見付からん。


 何か、変な空気になってな。


 気持ち悪い感じ。


 そこで、こらあかんわって思って俺「声のくぐもった感じ的にちょっと奥の方にいたのかもしれんし、ビビッてどっか逃げたんやろ」って、そう言ったんや。


 そしたらみんないつもの調子取り戻して、なんや根性無い奴やのうって、冷めた空気払拭するように、そっからまた朝まで走り回った。


 で、その日はそれで終わった。


 その三日後や。


 シバタ……森の中に一番乗りで入ってった、喧嘩っ早い副長……そいつが、行方不明になったんや。


 家にもどこにも見当たらんくて、ほんまいきなりなんやねんって。


 どこか行き先とか、何か知ってる奴おるかって、緊急でメンバー集めて聞いたんや。


 そしたら何人か、シバタが消える直前、最後の姿見たって奴等がおってな。


 そいつら商店街にタムロしとったら、ちょうどバイクに乗ったシバタが通りかかったんやて。


 あいつ、なんや気合いの入った格好しとったんやと。


 俺等のゾクの服着て、頭には鉢巻きまで巻いて。


 今までそんな格好したことなかったやろって。


 そいつら、シバタの格好茶化してな、「どこ行くねん」「なんや祭か?」「決闘なら助太刀するか?」って囃し立てたんやと。


 シバタ、ニヤニヤ笑って何も喋らなかったそうや。


 それが、最後。


 未だに、シバタの行方はわからん。


 六年経った今でもや。


『イワナベミズコ』っていう、Mさんのポストが流れてきてふと思い出してな。


 もしかしたらあいつ、あの夜森の中にいた奴んとこ行ったんちゃうかなって、そう思うこともあんねん。

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