Re-carnation

透譜

プロローグ

――夜空が、血に染まる。

深紅の月が世界を覆い、あらゆるものが光を失った。焼け焦げた大地に立ち尽くすのは、ひとりの鬼。

神鬼キト。

その眼は、憎しみに灼かれ、全てを貫いていた。

彼の前に、天から降り立つ光がある。

「……神、エデン」

白銀の光の中に立つのは、この世界を統べる神――エデン。彼の存在そのものが、この世界の“秩序”であり“絶対”だった。

「哀れだな、鬼よ。神に刃を向けるとは」

「哀れなのは……お前たちだ」

 地に突き立てられた剣。

 血に濡れた大地。

 エデンが剣を振り下ろす瞬間、世界が震えた。

 その一撃が、キトの胸を貫き――大地を裂いた。

 力が抜ける。

 視界が白く、そして赤く染まっていく。

(……これで、終わりじゃない)

 キトは微笑んだ。血まみれの口元で。

 憎悪と執念、それは神をも凌駕する“呪い”だった。

――俺は、生まれ変わる。

――何度でも。

――そして、神を殺す。

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