第十話 決戦の時は満開の桜なり
桜の咲く季節、ついに今日結婚式。私はすごく不安だった。せめてウエディングドレスを自分で選びたかった。この縁談が決まってから両親の様子がおかしくなった。家には週一しか帰ってこず、結婚式の話になると私より熱が入りすぎて指揮をとる始末。今回龍之介さんたちの「計画」は私にはあまり知らさせていない。あの場にいてにもかかわらず、気づいたら寝ていて起きた時には話が終わっていた。どうなるか不安だ。このまま結婚することになるのだろうか。そう思いながら化粧をしてもらった。
私自身の準備が終わった時、龍之介さんがやってきた。
「ご機嫌はどう?すごくきれいだよ。」
「ありがとうございます。」
その時、母がやってきて言いました。
「上出来じゃない!さあ、早くいくよ!」
そう言って私の手を強引に引っ張っていきました。黒の着物を着ていて「歩きずらい」って文句言ってた割にはずかずか歩く。スタッフさん困惑してるよ。申し訳ない。
早くこの結婚式終わってほしい。
一方、おいて行かれた私、龍之介はスタッフさんにこっそり指示をだした。
さあ、決戦の時
結婚式が本格的に始まりました。来賓の方々はどれも著名人ばかりですね。ただし、結花の友人が誰一人として来ていません。どうやらご両親が呼ばなかったようです。
ついに新婦が入場し、新郎の前にやってきました。神父が新郎新婦に問いかけの言葉を発した瞬間、ドアが突然開きました。
そこに立っていたのは悠真でした。
「結花、行くよ!」
そういって、俊足の速さで結花をお姫様抱っこしました。
そこに立ちはだかったのは結花の両親と龍之介の父でした。
「この結婚式をめちゃくちゃにはさせん!」
「結花を返して!」
「こんなことしてただで済むとおもうな!」
三人はそう叫んでいました。しかし、その三人の前に龍之介が立ち、指を鳴らしました。すると、天井から大量の写真が降ってきました。その写真は結花へ虐待した写真、人身売買の様子、違法の薬を若者に無理やり飲ませようとする写真などでした。
参列者が次々とその写真を拾い上げていくなか、三人は写真を見て発狂していました。
龍之介が悠真に顎で合図し、悠真はそのまま外に出ていきました。
「龍之介!こんなことして・・・!だれのおかげで今の会社があるとおもってんだ!」
「少なくともあんたのおかげではないさ。母さんが残したものを私・・・いや俺が守っただけだ!」
「そうさ、あんたと違ってこの子は自分の実力で会社を守ったのさ」
急に神父が話出しました。そしてぽんっと音が鳴った時の姿をみて辰朗は驚きました。
「あの時の代償、もらいに来たよ」
そう、キツネです。キツネは願い事を叶えてくれるがその代償が生命力でした。
「もちろん、あんたらもね」
どうやら結花の両親もキツネと契約をしていたらしい。
「龍之介、やっても?」
「俺の許可いらんだろ」
そう言って辰朗と結花の両親は紫の煙に巻き込まれました。
「これでよかったんだよな。」
この騒動の時、外は桜が満開に咲いていました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます