第6話

 彼と彼女は、大きなホームセンターに出かけた。

 ここなら、なんでも揃う。

 最初は、チェストを観に行った。

 彼女は機能やデザインより、値段ばかり気にしていた。

「遠慮するな。好きなの選べ」

「でも……」

「そうだな。部屋が狭いから、あんまり大きなものは無理だな」

 彼がそう言うと、彼女は組み立式で手頃なチェストを選んだ。

 チェストを選んだ後は、枕と敷布団と軽めの掛け布団を購入した。

 買い物が済むと、彼は何処かに電話をかけていた。

 通話を終えた彼に、彼女は聞いた。

「何処に、電話をかけたの?」

「タクシーを呼んだ。もうじき来るから、帰りはタクシーで帰るぞ」

「タクシー?」

「こんなに、荷物があるんだぞ」

「ごめんなさい」

 うつむいて、小さな声で彼女は言った。

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