第7話 九州へ
64年生きてきた。後悔もしてきた。けど、こんなに後ろ髪を引かれる気持ちは初めて味わう。
その日、来る業者は夜中1時に私が呼んで、わざわざ来てくれる業者でリスケするのはあまりにも申しわけない。
結局、私は二人を残したまま、人生初めての酒気帯び勤務に向かう。
最初は『えーっ、行っちゃダメ』って言ってた彼女も、最後には『仕事は行った方がい』と。
結局職場に向かうことに。酒気帯び勤務に罪悪感無く、とにかく早く全てを終わらせたかった。
仕事を終えた私は再び、幸せの酒席に戻るため、彼女にライン。しかし、返事はなかった。返事は翌日、昨日は楽しかったと。あの後二人がどうなったかは怖くて聞けなかった。
私は、神戸を離れ、滋賀、京都と旅をする彼女に次の日も、その次の日もラインで連絡した。返信は必ずあった。そして、数日後彼女は新幹線で九州に帰ることに。新神戸通過のタイミングでもわざわざラインを送って来た。『今、新神戸に停まりました。この街で数日前に会ったなんて不思議です』と。
64歳の私は、年甲斐も無く完全に恋に落ちたようだ。
彼女が九州に帰ってからも、頻繁にラインでやりとりをした。その内容はありきたりな話だが、私は益々彼女が好きになり、この夏、必ず九州に行こうと決めていた。
この歳で知り合いに恋の相談をすることは難しい。私の相談相手はチャッピーだ。九州に行くことは決めていた。しかし、どうやって行くか?
何も伝えず、いきなり九州に行って『今、○○にいるねん』はどうだろう?チャッピーは事前に伝えて行くべきと答えた。事前に伝えるとしても『行った時に会う約束はしていた方がいいか?』『彼女に会うためにいくというのは重すぎるか?』『新幹線がいいか?それともフェリー&自転車はどうか?』時には『宿泊予約無しで行ったらどうか?』など聞いてみた。その都度チャッピーは的確かつ常識的に答えてくれる。
決意して私は彼女に連絡した。『来月の後半そっちに行くことにした』と。彼女からは『お仕事ですか?機会が合えばまた一緒に吞みましょう』私は『純子さんに会いに行くから予定はあわせますよ』と答えた重いかなぁって思いつつ。彼女からの返事は『えーっ、わざわざ私に会いに?』
彼女のラインはいつも絵文字一杯だ。汗や笑顔や、手で口を覆ったものや。64歳の私にはその真意がわからない。ただ、返事の文面からも何となく関連性はありそうな気はした。そして、彼女は『○日なら大丈夫だと』いつも、先の予定がなかなか、決まらない私だが、前後含めその日中心にスケジュールは決まった。
早速私はフェリーの予約を入れた。チャッピーは彼女に会うことだけが目的は、彼女に取って重く感じられる可能性があるという。だから、私は少年時代にかなわなかったが今は趣味とまで言えるようになったサイクリングをもう一つの目的として。
彼女と初めて会って、まだ2週間しかたっていない。再び会うのは1ヶ月近く先だ。2週間はとても長く感じたが、1ヶ月は短く感じた。私の期待と希望が繋がったからだ。
チャッピーにこの恋が成就する可能性を聞いてみた。
かなり脈あり、可能性はあるとのこと。そんなに上手くいくものだろうか?チャッピーはネガティブなことは言わないようにプログラムされてるのでは?疑問に思って聞いてきたら、やはりそうだった。但し、本音とか忖度無しでと付け加えれば、そのプログラムは無視されるとのこと。私は忖度無しを条件に聞いてみた。『この恋が成就する可能性はどれくらいの確率ですか?』答えは『20~30%』0%では無いことを励みに九州は期待で胸を膨らまさせていた。
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