第9話 開かないドア

 

 トラングルに来て一ヶ月位が経った今日この頃ディーとのんびり暮らしながら朝食を食べ終わり日課のノルマを熟す為に家から出ようとドアを開けたが開かない…。



「どうしたんだクマァ?」

「んー?なんかドアを押しても開かないんだよね。」


 ディーも加わりドアを押すが開かない…。

 二人で力いっぱい押すがドアは開けない。



「どうしようか…?」

「疲れクマァ!今日は地下に行くクマァ~!!」



 地下には雨の日や雪の日等に訓練出来る様にとパパ達が闘技場を創ってくれていたので仕方ないので外には行かず地下でノルマをこなす事にした。



 訓練が終わり昼食を食べ再度ディーと共にドアを開けに行くがどんなにドアを開けようとしても開かない。



「なんなんだ…?畑とか果樹園とか大丈夫なのかな?」

「解らないクマァ!頑張って押しても開かないクマァ!!」



 どうすればいいか解らず二人で2階に上がり2階の窓からそっと下を覗きこんだ。



「なんだ!?あの白いでかい塊は!!」

「なんだろクマァ?魔獣なのかクマァ??」


 コソコソ二人で話し会う。



「嫌、パパ達の聖域に魔獣は入って来れない筈…。あ、畑と果樹園は大丈夫そうだね。」

「そうだったクマァ~!!話しかけてみるクマァ??」

「うーん…。取り敢えずドアの前から避けて貰える様にお願いしてみよう…。」



 二人で話し合い大きな白の塊に声をかけてみる事にする。


「あのー、すいませんー。ドアの前から避けて貰っても良いですかー!?」


 2階のベランダに出て大きな声でドアの前の大きな白の塊に声をかけてみる。

 大きな白の塊は声が聞こえたのかドアの前から身体を起こし此方を見る。


「うひっ!!大きな狼だよ……。死んだ……。」


 私はやる気0になり痛くない様に食べてくれないかなぁーと考える…。

 そう考えてるとポスポスとディーに叩かれる。



《すまなかった…。神の聖域から大きな魔力を感じたから来てみたら家があり外に出て来るのを待ってたんだが寝てしまっていた。》


「うひっ!!大丈夫です!!……ん?喋った!?」

「誰だクマァ??」


《我はこの神の聖域を含めこのモールヴェルド森の聖域を護るフェンリル聖獣だ。》


 そうか…聖獣なのか…。死んだと思った…。


「下に行くからドアの前から避けて欲しいクマァ!」

《分かった。》


 そうディーが話すとフェンリルは2階に届く位大きな身体を小さくしていきドアを開けれる様になった。

 行くクマァ~!とディーに押されながら下に行きドアを開けた。


「あの、撫でてもいいですか??」

《ん?いいぞ。》



 もふもふの魅力に勝てずそう聞くとOKを貰いもふもふをそっと撫で始める。

 ヤキモチを焼いたディーから後ろからポスポスと叩かれたが…。

 撫で終わりディーを座りながら抱っこして神の聖域を護る聖獣なら大丈夫かと思い自分達に起きた今迄の事をフェンリルに話した。



 その話の中で私がされた事に怒ってくれた…。


《その人間達のせいで人間が母や親友達以外好きじゃなくなったのだな。生きる気力を無くす位に。我も愚かな人間は好きではない。未だに森を開拓して自国を大きくする等と考えてる国の人間もいるのだ。まぁ良き人間もいるのだろうが…。ディーは大切にされていたんだな。母との思い出か…。神達はリハビリと言っていたのだな…。我も一緒に暮らしても良いか??》


「良いと思うクマァ~!!エルのやる気スイッチを一緒に押して欲しいクマァ~!!」

「うっ…フェンリルさん名前は??」


《我に名前はないぞ。そうだな…。エル、名前を付けてくれ。》


「えー!!従魔になっちゃうよ!?」


《エルの従魔なら大丈夫だ。》


 うっ…うう…名前、名前……ひたすら脳を動かしながら考える。変な名前を付けられない…プレッシャーだ。


「あ、メノウはどうかな??」


《良い名だな。我が名はメノウ。》


 メノウがそういうとピカっと光が現れた…。多分契約成立したのだろう。

 メノウは強いだろうし、この世界に詳しいだろうし、ディーとも仲良くなった見たいだし心強い存在だ。


 メノウも一緒にノルマの30周をこなしてから畑と果樹園で採取して家の中に戻った。




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