この工夫を編み出すに至った経緯(3)

 さて、前項で私は「web小説において句点は『。』よりも『■』の方が読みやすい」ということを申し上げました。


 カイテヨンデにおいてPVを増やしたい! との思いで本稿をご覧いただいている皆さまにとっては蛇足となりましょうが、ここで私はもう一歩踏み込んだ主張をしたいとおもいます。


 web小説に限らず、


 これはどうなんでしょうか?


 そんな訳ねえだろ! と罵声が聞こえてきそうですが、私は至極真剣にこの主張をしています。

 だからこそ、認識のコペルニクス的転回などと大言壮語も吹いてみせた。


 文章において重要な点といえば、何があるでしょうか?

 主旨の明瞭さ、論理的な整合性、詩的情緒、感情に訴えかける力強さ、読み手の境遇に依らない普遍性、リズムの美しさ、そして読みやすさ……などなど。

  

 それはもう無数にあることだと思いますが、見過ごされがちな一点があります。

 ……それは「」です。


 句点というのは、日本語で文章を書くなら極めて頻繁に書く必要がある記号です。

 web小説の創作論でも、「一文はなるべく短くして、読点(、)か句点(。)で迷ったら句点を打って一文を区切るべし」というのを見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。

 つまり、それほど頻繁に書く必要がある記号だからこそ、「。」という、ほぼ最小の労力で書ける記号が採用されてきた、というわけです。


 私は何が言いたいのか。

 句点というものは、日本語の歴史の中で「書きやすさ」を優先したがために「。」という形で浸透した。しかし、「読みやすさ」だけを考えるのならば実は「■」の方が優れている――ということです。


 本来は「■」の方が句点としての機能を果たす上では優れているのです。

 しかし、毛筆や鉛筆で「■」を書くにはいかにも手間がかかりすぎる。

 「塗る」という手間が必要な文字は日本語には存在しません。それは、その筆記にかかる労力によって淘汰されたとみるのが自然でしょう。


 しかし、誰もがパソコンやスマホで文章を綴る時代になったことで「。」と「■」の筆記コストはほぼ等価となりました。

 だからこそ、ここで句点というものは「。」から「■」に変化、いえ……進化すべきだと私は考えます。そしてその嚆矢こうしは、デジタル文学の最前線であるweb小説界からこそ放たれるべきであろうとも。


 この、一見頭がおかしいのではないか、と思われそうな主張はしかし、先般ご承知の通り、「句点を『。』から『■』に置き換えただけの私の作品のPVが劇的に増加した」という客観的事実によって裏付けられています。


 慣れ親しんだ、句点=「。」という文法を崩して書くことは、無作法な行為でしょうか。

 しかし、少なくともweb小説における可読性という点では句点=■記法は明確に優れており、それゆえに無作法にはあたらない、と私は考えます。

 そもそも、読者にとっての読みやすさ以上に優先されるべき文章作法など、ほとんど存在しないのではないでしょうか。



 別の例を挙げます。

 私はかつて、大学でとある理系の研究室に所属していました。

 理工学系の論文においては、英語の論文での文章作法にならってか、句点は「ピリオド」、読点は「,カンマ」で表記されます。

 そのこと自体も特筆されるべきことですが、更に驚いたことには、論文におけるそうした文章作法に則り、日常のメールやチャットでのやり取りでも同様に、句点=「.ピリオド」、読点=「,カンマ」記法が使われていたのでした。

 それはもう、大学の理工学部に納入されるPCの初期設定がそうなっているという徹底ぶりでした。

 文章作法というものは、何となく思っているより流動的で可変的なものである、ということを、このとき私は実感しました。



 いかがでしょうか。

 ここまでお読みいただいて、私の主張の真偽はともかく、句点=■記法を試してみよう、という気になってはきませんか?


 この句点=■記法について、私の方では権利を主張したりすることは当然ありませんし、私に断りを入れる必要も全くありません。

 良かったら、どうぞ使ってみてください。


 長文をここまでお読みいただきありがとうございました。

 今後ともどうぞよろしくお願いします。

 ぷてらの丼

 

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