第2話 サイトにて

そのサイトはここと同じように、小説を書くプラットホームだった。当時俺は小説を書くというよりかは作者交流掲示板で交流することの方が多かった。

毎日のように顔も名前も知らない人達とくだらない話をして楽しんでた。

俺は高校生でリアルの世界でも割と友達はいた方だったけれど、どこかいまいち満たされない感覚だった。

だからこそ、この掲示板というものは新鮮でハマり生活の中心になっていった。


そんな時に出会った君。

初めにどんな会話をして、どうして絡むようになったのか思い出せない。恐らく眠れない俺が声をかけたんだと思う。


君の最初のイメージは、とても脆くて儚い触ったら消えそうな綿あめとか雲とか、ふわふわしたイメージだった。

水色と明るいグレーが混ざったような色をしてそうなニュアンス。

でも意外と人懐っこい犬みたいな。


ただなんか、すごく惹かれた。

少し自分と似ている気がして興味で近づいただけなのに。

俺自身もそんなに人生が順調という訳もなく、他では話せない悩みや弱さを君に打ち明けていた。


この時点できっともう依存していたと思う。


おかしいなとも思った。高校生ながらに会ったこともない相手に依存なんて。

でも心地よかったんだろうな、あの時は。


死にたい、消えたい、辛い、しんどい


家庭環境が少々劣悪だったためネガティブな思考に陥り、君との時間がカウンセリングのような、落ち着く時間になっていた気がした。


大切で大切で、壊れないようにそっと掬うぐらいの感覚で君と接していたような。でも意地悪したくなって、浮上しないと君は俺の名前をひたすら掲示板に書いてた。それが嬉しくて敢えて返信しなかったり歪んだ愛情表現をした。


そんな事が多分、恐らく2年間くらい、

3年間ではないと思う。


ずっと話していた。欠けた愛を埋めるためになのか、寂しさを紛らわせるためになのか、本当に好きだったからなのか。依存しているからなのか。



光も君もきっと本名は違うのにね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る