第5話 蘇る記憶
二ヶ月目のある日、私は古い写真を整理していた。
その中に、一枚の写真を見つけた。修一と二人で写っている写真。
「これ...」
写真を見た瞬間、頭に痛みが走った。
そして、断片的に記憶が蘇ってきた。
カフェで出会った日。初デートで緊張したこと。修一が笑いながら話してくれた冗談。
「思い出した...」
涙が溢れた。
修一との記憶が、少しずつ戻ってきた。完全ではないけれど、確かに私は修一を愛していた。
すぐに修一に電話した。
「修一、会える?」
「今から行くよ」
三十分後、修一が来た。
「どうしたの?」
「記憶が、少し戻ってきた」
修一の目が大きくなった。
「本当?」
「うん。まだ全部じゃないけど、あなたとの思い出、思い出せた」
修一が私を抱きしめた。
「良かった...」
彼の声が震えていた。
「ずっと待ってた。春菜が、俺のこと思い出してくれる日を」
「ごめんね。待たせて」
「ううん。待った甲斐があった」
抱き合ったまま、二人で泣いた。
## 第六章 二度目の恋
それから、記憶は徐々に戻っていった。
でも、全てが戻ったわけではない。今も、所々に空白がある。
ある日、修一に聞いた。
「ねえ、記憶が完全に戻らなかったら、どうする?」
修一は笑った。
「それでもいいよ」
「え?」
「だって、俺たち、もう一度恋をしたじゃん」
その言葉に、ハッとした。
確かに、私は記憶を失った後、もう一度修一に恋をした。
記憶がなくても、心は覚えていた。そして、新しい恋も始まった。
「そうだね。二度も、あなたに恋したんだ」
「そう。だから、記憶が戻らなくても関係ない。これから作る思い出の方が、大切だから」
修一の言葉が、温かかった。
「ありがとう」
「何が?」
「待っててくれて。諦めないでいてくれて」
「当たり前だよ。春菜は、俺の大切な人だから」
手を繋いだ。今度は、ちゃんとドキドキした。
これが、恋人の手を握る感覚。
遅れて気づいた、愛の形。
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