再会した義妹と付き合うまでの話

@Kanade02101220

第1話 再会

          再会

「はぁ、疲れた……」

 俺、藤崎悠真は、真新しいスーツに身を包み、重い溜息をついた。今日で入社して丸一週間。社会人一年目の新米として、覚えることばかりの日々に体が悲鳴を上げている。

 地元を離れ、都内のアパートで一人暮らしを始めて数ヶ月。この春、大学を卒業し、念願の企業に入社したものの、理想と現実のギャップに直面しているところだ。

 冷蔵庫を開けると、中はすっかり空。仕方なく、近所のスーパーへ向かう。レジ袋を提げ、アパートのエントランスを通り過ぎた、その時

「あれ?悠真兄さん……?」

透き通るような、それでいてどこか聞き覚えのある声が背後から響いた。

 振り返ると,そこに立っていたのは、俺の記憶にある面影を色濃く残しつつも、信じられないほど美しく成長した女性だった。艶やかな黒髪が風に揺れ、大きな瞳が俺を捉える。薄手のニットカーディガン越しにもわかる、豊かな胸。(昔、まだあかりが高校生だった頃、うっかり風呂場で見てしまったあの光景が脳裏に蘇るあの時の衝撃が、間違いではなかったことを証明する膨らみだ)

「え……お前、まさか……あかり?」

目の前の彼女――義理の妹、水瀬あかりは、にかっと笑顔を見せた。

「久しぶり!まさかこんな所で会うなんてね」

彼女はあの頃の義母の連れ子。俺が大学4年生で実家を出て以来、連絡を断っていた相手だ。家族に対して、義妹に対して、一線を越えた感情を抱いた自分に嫌気がさし、申し訳なく感じ始め,親にお願いして1人暮らしを始めた。

「どうしてここにいるんだ?」

俺の問いに、あかりは少し顔を赤らめ、はにかむように答えた。

「実はね、この春からこの近くの大学に通うことになって。今日、引っ越してきたんだ」

偶然の再会。それは、止まっていた俺たちの時間を、俺の封印していた感情ごと再び動かす合図のように思えた。

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