桜鬼事件・後編
第32話
カタコちゃんが会議してる間、僕はこの国会的な議事堂的な施設の見学エリアを見ていたのだがものの10分くらいですっかり飽きてしまった
「うーん、自由にしてて良いって言われたので色々見て回りまたしたが……もう見るとこもないですね」
やることの無くなった僕は、建物外の庭園をフラフラしていた……都会の真ん中だがこの周りは意外と自然が多くて外のほうが気持ちがいいな
「いてっ、お前どこ見て歩いてんだ!」
「あっ、すいません僕としたことがよそ見をしてて……」
周りに誰もいないと思ってよそ見して歩いていたら、誰かにぶつかってしまった
「ったく、気をつけなよ……ん?」
「いやー申し訳ない……おや?」
ぶつかった相手は女性だ、茶髪のショートヘアでヘソ出しのシャツにホットパンツ……最近の女性は肌を出すことにあまり躊躇いがないですよね
ん、しかしこの女性……どこかで見たことあるような。
ふと脳裏によぎったのは、孤児院時代の記憶……あの頃よく遊んでいた子供たち。
いや、さすがに気のせいかな……キドウと最近会ったから引っ張られてるのかな
「……おーちゃん?」
「えっ……」
おーちゃん、その呼び方は僕が孤児院にいた時によく呼ばれていたものだ
「……っ、悪い人違いだ……昔の知り合いに似ててさ」
「もしかして……たっくん?」
たっくん、タクミくん。
孤児院で工作が得意だった、たっくん
孤児院にいた中で、僕の記憶に当てはまった人物だ。
「……おーちゃん!?」
「たっくん!?」
「「えぇ〜〜〜!!!」」
互いに指を差し合いながら驚きの声を上げた、すごい偶然もあったものだ
キドウに続いて、まさかたっくんまで再会するとは思わなかった。
「……っていうか、女だったの!?」
「気付けよ!オレは女だよ昔から!」
たっくんは孤児院の中でも僕ら、つまり男の子側と一緒にいることが多かったからずっと男の子だと思っていた
確かに女っぽい顔してたし、男子グループで一緒にお風呂入った記憶も無かった…そうか女性だったのか
「ったく、おーちゃんは昔からさぁ……」
「だって昔は髪短くて、半袖短パンだったじゃないですかっ自分のことオレって言うし男かて!」
「大して変わらないだろいまだって!」
「いやいや、随分と女性らしくなって……そういえば知ってます?この前キドウとも偶然会ってさぁ〜」
「あん?きーちゃんも?……あいつ、九州行ったんじゃなかったっけ?」
「家の事情でこの前孤児院近くに来てたらしいですよ」
「へ〜……変な偶然だな。んなことより、おーちゃんはこんなところで何してんだよ…散歩?」
「えっ?あぁ、カタコちゃん……知り合いがここで会議してまして、それが終わるのを待ってるんですよ」
たっくんには勿論討魔剣士のことは伏せて、人を待っていると伝える。(まぁ話したところで信じないと思うけどね)
「……あ?今日ここでの会議っつったら……って、カタコ?」
しかし、そのことを告げるとたっくんは急に怪訝そうな顔になった
「カタコって、伊達巻カタコ……?」
「えっ?たっくん、なんで知って……」
「はぁ〜〜〜……マジかよ、お前"こっち側"の人間か?」
「こっち側……って、たっくんもしかして……討魔剣士?」
「オイオイ、どんな偶然だよ……」
たっくんが頭を抱えてしまった。
僕も驚きだ、まさかあのたっくんが討魔剣士なんて…
「たっくんが……討魔剣士……!」(キラキラ)
「うっ……そんなキラキラした目をすんなよ……お前まだそのヒーローとかそういうの好きなのかよ……」
「当たり前でしょっ僕は今でも正義のヒーロー目指して邁進中ですよ!」
「あーはいはい、昔はお前はそういうやつだよな。」
「たっくんたっくんたっくん!たっくんも討魔剣士なら禍津討伐とかするんですよね!?話聞かせて聞かせて聞かせて!!!」
「だーーー!急に迫ってくんなビックリすんだろうが!!!オレは一応討魔剣士だけどそういう任務はしねーの!」
「そうなんですか?」
「あぁ、伊達巻カタコみたいなの想像してるとこ悪いがよ。オレは討魔剣士でも裏方専門なの、装備の整備とか開発とかな」
「そういえばたっくんは工作大王でしたよね」
「懐かしいなその呼ばれ方……オレは
「へーーー、じゃあたっくんはいま飛田野たっくんなんですね」
「飛田野タクミな。つーか、おーちゃんはなんで討魔剣士と関わりがあんだよ……ましてや伊達巻カタコって」
「僕ですか?僕はね……」
簡単に僕とカタコちゃんの関係を説明する、思えば最初カタコちゃんと出会ったときはまさかこんなことになるとは思わなかったなぁ
「はぁ〜〜〜……世の中何があるか分からないな」
「いやもうホントですよ、驚きの連続で……そういえばたっくんは討魔剣士の会議に来てたんじゃないんですか?」
「あ〜〜〜……オレは会議で話されること知ってるから出なくてもいいんだよ、結果だけ共有してもらえりゃいいしな。今はとある調査のための解析で煮詰まってて、気分転換に庭園散歩しに来ただけだ。」
「えっ、それってもしかして……グレーターデモンの?」
「あ?なんで機密知って……って伊達巻カタコ関係ってことは、当事者だっけお前」
「ははは、大変な事件でしたよ」
「お前なぁ……ってか、伊達巻カタコに言っとけ!あんなぐちゃぐちゃのスクラップにしたら分かるもんも分からねえって!!!」
「グエーーー!僕に当たらないで下さいよっ!」
たっくんに首を締め上げられてしまった、どうやらカタコちゃんのせいで大変らしい
「ったく、ん?お前携帯鳴ってね」
「おや、本当だ……ちょっと失礼」
僕はポケットで鳴っている携帯を取り出しす、着信先はカタコちゃんだった。
「えー、こちら花道中華飯店です。ご注文は?」
『えっ!?あっすいません間違えました!』ブチッ
「……オイ、電話切れたぞ」
「カタコちゃーーーん!冗談だよーーー!」
すぐさま電話をかけ直す、カタコちゃんはすぐに電話に出た
『……なんでそういうことするの』
「誠にごめんなさい……」
『……ハァ、まぁいいです。会議終わりました、討魔剣士の人達見たいなら今こっち来れば見れますよ』
「本当かい!?行く行く!どこ〜!」
『機密会議室……えっと、受付に話し通しておきますので案内してもらって下さい』
「はーい!」
「……なんだ、会議室行くのか?ちょうどいいや、オレが案内してやるよ」
「いいのかいたっくん!」
「ま、乗りかかった船だしな」
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