第8章 真実の朝
📘あらすじ
夜が明けたら、すべてを話そう。
優しさと真実、どちらも本物であるために。
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第8章 真実の朝
本編
夜が明けきらぬうちに、美香は隼人の事務所へ向かった。
ファイルを抱えた腕はまだ震えている。
圭吾からもらった助言が頭をよぎった。
「真実は、逃げない。あとはお前の言葉で伝えろ」
朝の光が差し込む頃、隼人が出勤してきた。
顔には疲れがにじんでいる。
「おはよう、美香さん……どうしたの?こんな朝早く」
美香は迷わず、彼の机にファイルを置いた。
「これを見て。玲奈さんのしたことよ」
ページをめくるたび、隼人の表情が固まっていく。
偽造された契約書、裏で交わされたメール記録、買収先とのやり取り──
すべてが、彼を欺くためのものだった。
「……まさか。玲奈さんが、こんなことを……」
声が震えていた。
信じていた人に裏切られた痛みと、自分の無力さへの悔しさが入り混じっている。
美香は静かに言った。
「隼人さん、あなたは優しい。でも、優しさだけじゃ会社も人も守れないの」
「……美香さん」
「だから、私が代わりに戦った。あなたの夢を守りたかった」
隼人はしばらく沈黙し、やがてゆっくり顔を上げた。
「ありがとう。本当に……ありがとう」
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🌸第9章
📘あらすじ
不正は暴かれ、隼人の会社は救われた。
モーニングのカフェで交わす穏やかな笑顔。
「私はただ、あなたが推しだから」
52歳の美香が見つけた答えは、“誰かを想うことこそ、自分を輝かせる力”。
推し活は、人生そのものの再生物語だった。
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