友達


 また気に障るようなことをしただろうかとアベル王子は心配になります。

 王子は今まで大人としか接したことはなく、同じ年位の子どもにはどうしたらいいのか分かりません。だから、こう言いました。


「さっきのブローチ、あげる。他に欲しい物があったらそれもあげる」


 アベル王子は宝石箱を指差します。

 カインは顔を上げると、王子と宝石箱を交互に見ます。そして眉間にギュッと皺を寄せるのです。


「こんな高価な物を簡単にくれるだなんて、太っ腹だぜ。……馬鹿にしやがって」


 何をどうしてもカインは怒ってばかりでアベル王子は泣き出しそうになります。


「馬鹿になんてしてない。ぼくはカインに“友達”になってほしいんだ。お父様が言ってた、仲良くしてほしいなら宝石や珍しい物をあげたらいいって」


 するとカインは怒りの表情を和らげ、悲しげな面持ちで王子を見ます。


「そんなの“友達”じゃない。お前、ヤツだな」

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