二度目のライド

仮想世界バーチャル・ワールド』に入り、暴走するロボットが人々を襲う。逃げ惑う人々は、パニックになり出口に押し寄せて行く。それらの人々は、私の目には白黒にしか見えていない。

 声も聞こえないので、私はまた一人で戦うことになる。


「せっかくのデートが台無しになったわね」

『えぇ。それでどうするの? あれを壊す?』

「そうね。私たちの邪魔をしたのなら、それ相応の報いを受けてもらうわ」


 私はスマホ取り出し、指をディスプレイに当てる。画面の認識画面が緑に光り、変身する準備を終える。


「ブリュンヒルデ、『ライド・トゥ・ブレイバー』!!」


 顔認証を経由し、ブリュンヒルデとリンクする。服が消滅し、データで生成されたスーツを見に纏い、私は『ブレイバー』となる。

 そして私は、『M・ブリュンヒルデ』となった。


「二度目とは言え、まだ慣れないわね。自分が変わってしまう感覚は」

『そうも言ってられないわ。さぁ、行くわよ』


 脳内に聞こえるブリュンヒルデの声に、私は3階から飛び降りる。着地をすると、暴走するロボットは私に向かって攻撃する。私はそれを『正宗』で防ぐと、振り向いたと同時にロボットの胴体を斬る。


「意外と大したことはないわね」


 私が『正宗』の背中に回す。すると、ウィンドウにアラートが表示される。


「どういうこと?」

『どうやら、このモールの警備ロボまでもハックされた見たいね。次々とあなたの元に来てるわ』


 ロボットたちが、次々と私の元に集い出す。私は銃に持ちかえ、ロボットの頭部に向けて撃ち抜く。撃ち抜きながら、私はロボットを撃ちながら、ロボットの大群と距離を置く。


「外の警備ロボットまで来てるじゃない。どうなっているのよ?」

『おそらく、さっきのお披露目会の時にやられたみたいね。『アバター』と見せかけての『ウィルス』の感染。これは手慣れのブラックハッカーね』

「『アバター』なら、セキュリティに干渉しないって算段かしら? なら、この間見たく本体を倒せばいいのね?」


 私の判断に、ブリュンヒルデは思考する。すると、ウィンドウにルートが表示された。


『このモールの4階のサーバールームに向かいなさい。そこからダイブして棲みついた『ウィルス』を除去をする。だけど、時間的猶予は少ないと見ていいわ。その間でも、『ウィルス』が繁殖して、このモールを支配していってるわ。急がないと、このモールにいる人たちを無差別に殺すわ』


 ブリュンヒルデの言葉に、戦慄を覚える。そうなると、彩葉は? 考えたくもない。

 私は急いでサーバールームへと向かう。しかし、ロボットたちは行手を阻む。私は、行手を阻むロボットを『正宗』で斬る。


「邪魔よ!」っと次々とロボットを破壊していく。そうしていくと、生体反応を感じる。人の生体反応のようだ。

 私はその生体反応がした場所へと向かう。すると、一人逃げ惑う誰かか、ロボットに囲まれていた。私は咄嗟に駆けつけ、逃げ遅れた人を助けに入る。


「あなた、大丈夫?」

「は、はい!」


 私は逃げ遅れた人を助けるため、襲いくるロボットを破壊する。


「『ギリシア・コード【α】。モード:ブレードダンサー』!」

 戦士のような姿に切り替え、『エネルギー・ブレイド』と共に斬りかかる。それによって、ロボットたちは斬り倒された。


「怪我はない?」

「あ、ありがとう?」


 尻餅をついた彼女に手を差し伸べる。それに、謎の疑問を感じる。なぜ、彼女は『仮想世界バーチャル・ワールド』にいるのだろうか?

 そんな疑問を他所に、彼女は私の名前を呼ぶ。


「美羽? 美羽なの?」


 私は唐突に声をかけられ、後ろを振り向く。


「わ、私はあなたの知り合いとは違うわ。それに、早く逃げなさい。ここは危険よ」


 彼女は後退りせず、私に向けて話す。


「幻滅してるよね? 学校もろくに行かず、政府の言いなりで、こんなものを作ったんだもの。きっと、罰が当たったんだよ。美羽は何も知らないのに、私はそのことから逃げてる。でも、助けたのは美羽で、また助けられた。私ってバカだよね? 誰かの言いなりになってばっかりだもの」


 彼女の言葉を無言で振り向いたまま動かないでいる。


「別に、そんなことは重要じゃない。大切なのは、誰かの為に何かを成すこと。それは果たす勇気があること。あなたには、それを果たす義務がある。確かに、あれのプログラムがどうあれ、あなたはそれに関わった。こういう事態になったからには、今は逃げて防止策でも考えればいい」


 私は、彼女を置いて2階に上がる。すると、彼女は、美生は大声で私を呼び止める。


「ねぇ、教えて! あなたは何のために戦うの!?」


 その言葉に、策を上がる前に美羽の方に振り向く。


「まずは逃げなさい! これが終わったら、全て話してあげる!」


 私は美生を後にし、4階のサーバールームに向かう。しかし、ロボット達がまた行手を阻む。しつこさを感じつつ、私はロボット達を倒す。3階から、4階へと向かう途中だった。


「あれは、さっきのロボット? 壊したはずじゃ?」


 私が疑問に感じていると、ロボットは内蔵していた銃火器を乱射する。身の危険を感じた私は、『正宗』でガードする。


「ガドリングまで内蔵しているの!?」

『どうやら、極秘裏に作ってた機能みたいね。データベースにはなかったわ』

「どういうこと?」

『あのロボットの目的は警備。つまりはAIが全て判断し、危険因子を徹底的に排除するという固定概念を埋め込まれているようね』


 私は、ブリュンヒルデから送られてきたデータを見て驚愕する。どうやら、日本国憲法を無視した設計だったようだ。不振なものは、人間であろうと徹底的に排除するという寸法だろう。


『あれを鎮めるには、核を突くしかないわ』

「えぇ。だけど、どうすればいい?」

『隙をみて突くしかないと言いたいけど、ロボット達がこっちに来るわ。悠長に待っている時間はないわ』


 ブリュンヒルデの声に、私は焦り出す。ロボットは無常に攻撃を繰り返すが、私はそれを避けながら銃を撃つ。リロードをしようとした。その矢先だった。ロボットの拘束機能によって、両手を拘束される。


「くそ! 早く何としないと!?」


 私がもがいている。その時だった。突如として、槍が降って来た。その槍は一直線に私を拘束していたロボットを突き刺し、持ち主のところに戻る。

 そして、その人物は私がよく知る。だったのだ。


「あなたは、美生なの?」

「細かい話は後! 今はこれを何とかするのが先よ!」

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