第3話 

 それからも僕は学校が終わり夕方になると公園で咲さんとペンダントを探しをしていた。ペンダントはやはり見つからなかった。代わりに咲さんと会う度に徐々に仲良くなっていき、それがとても嬉しかった。




 土曜日と日曜日、学校が休みのため昼から公園に向かったが咲さんはいなかった。さすがに毎日は探していないんだろうなと思い家へと帰宅した。




 月曜日、再び学校が始まった。今週は僕が通ってる学校独自の課外授業があり、何かテーマを決め発表するという授業がある。ちなみにこの授業は個人で取り組んでも良いし、グループを作って取り組んでも良いみたいである。僕は優さんから一緒にペアを組もうと提案されたため、勿論と即答で返事をした。

 何をテーマにしたら良いか優柔不断な僕は迷っていたが、優さんからこの街で去年起きた車絡みの交通事故についてまとめようという提案があったため、そのテーマに決定した。僕達の住んでる街では範囲が広すぎる為、僕達が住んでる地区に絞り調べることにした。ちなみに僕と優さんは同じ地区に住んでいる。

 何故優さんはそのテーマに決めたのかについてはあえては聞かなかった。正確には聞きたくなかったのかもしれない。




 テーマである交通事故の件数や内容の内訳を調べるため、インターネットや地方の新聞を確認し調べることになるのだろうか? はっきり言って膨大な量となるため全部を調べるのは僕達は警察ではないため無理な話である。でもこれは学校の課外授業であるためそこまでは求められていない。この授業の本質は調べる力を養うことに意味があるのだから。




 優さんと僕で分担して記事を調べることにした。とはいえ優さんは事前に自作の資料を用意してくれていたみたいで、その中から何枚かの資料を優さんは僕に手渡してきた。僕は調べ物が苦手であるため正直に言うと事前に用意してくれていたこの資料はとてもありがたかった。 

 しかし、優さんは一体いつこの膨大な量の資料を用意したのだろうか。というより、優さんがここまで既に資料を準備してくれていたのなら僕は必要ない気もしたが、これは課外授業であるため優さんは僕にもあえて役割を与えてくれたのだろう。僕達の住んでる地区に絞ったは良いが、それでもやはりそれなりの件数の車絡みの交通事故はあったみたいで調べるには時間がかかった。

 優さんから渡された資料をいくつか調べている時、僕はある記事に目が止まった。僕が最近通ってる公園で去年事故があったみたいだ。内容を詳しく確認すると、どうやら暴走した車が公園の中に突っ込み、公園にいた高校生を轢いてしまったとのことだ。事故に遭って亡くなった女性の名前は咲さん……。




 放課後公園に向かうと今日は咲さんがいた。


「土日は公園にいなかったんだね?」


 そう尋ねると、咲さんから土日もいたよと返答が返ってきた。土日に公園に行ったがいなかったはずだけどなーと思いつつ、ペンダント探しを開始した。


「確認したいけど、探してる星型のペンダントってもしかしてスター君のペンダント?」


「そうだよ」


 やっぱりスター君のペンダントみたいだ。ちなみにスター君はマイナーなキャラクターであるため、ほとんどのグッズが限定商品なのである。

 今日もペンダント探しをした後、咲さんと雑談をした。今回の話題は恋愛話である。好きな人がいるか聞かれ時、僕は笑ってごまかすことしかできなかった。僕はいつも一緒にいてくれる優さんのことが好きなのかなと思いつつも、最近は咲さんのことも気になってきており、自分の気持ちが正直分からなくなっていた。

 逆に咲さんは誰か好きな人がいるのか聞くと、ずっと好きな人がいるみたいでその人からペンダントをもらったそうだ。




 家に帰ると、公園で起きた交通事故の記事について思い出した。事故に遭った女性の名前が咲さん、正確に言うと星見咲ほしみさきさん。

 そういえば咲さんの苗字は聞いてないなとふと思ったため、明日会ったら聞いてみようと思い眠りについた。

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