第16話 とても魅力的な凜々花
今日一日で僕がどれだけ過去に囚われていたのかがよくわかった。
前よりも世界は綺麗に見えるし、人と話すことがここまで楽しいのなんていつぶりだろうか。
あれだけ雑に扱ってもなぜか凜々花はずっと僕に話しかけてくれている。
理由は気になるけど、わざわざ拒絶する意味もそこまで見つからないから関わっている。
「龍くんって彼女欲しいとかそう言うのは思わないわけ?」
「あんまり思わないな。今はそれよりもしっかりと生きていくことで精いっぱいというか」
心菜のお墓参りをして吹っ切れたとはいえ、じゃあすぐに恋人を作ろう! となれるほど僕は情が薄くない。
情が薄いという言い方は変かもしれないな。
そこまで僕がきっぱり割り切ることができないだけだ。
「ええ~それでも本当に男子高校生なの?」
「れっきとした男子高校生ですよ。それなりに重い過去とかを背負ったりしてるけどね」
「龍くんって今日暇だったりする?」
「別に暇だけど、何か用でもあるのか?」
「質問に質問で返さないで欲しいんですケド。まあ、その通りで一緒に遊びに行かない?」
前までなら考えるまでもなく断ってたんだろうけど、今は行ってみたいと思う。
同年代の人と一緒に遊びに行くのはそこまでないし、それをすれば少しは幸せな気分になれるかもしれない。
しっかり幸せになって僕が死んだとき天国にいる心菜への土産話になるかもしれないしな。
「いいぞ。本当に暇だし、どこに行くか決まってるのか?」
「適当にぶらぶらしよ~よ。龍くんがこうやってうちと遊んでくれるのとか珍しいからいろんなことしたい!」
「わかったよ」
最初は鬱陶しいと思っていた凜々花だけど、こうやってしっかりと関わってみると明るくていい子なんだとわかる。
それに、ものすごく可愛いし。
メガネ……というか、視界の重要性に気が付いた。
これからはいろんな体験をしていきたいな。
「本当に変わったね。でも、うちは今の龍くんの方が好きかも! なんだか明るくてさ」
「そうか? 素直にそういう事を言われるとなんだか照れるな」
「龍くんが照れるのも本当に珍しいね。絶対に何かあったでしょ」
「なにもないよ。凜々花は凄くご機嫌だね」
「だって、新しい一面が見れてすごく嬉しいからさ。それに、いっつも暗い顔してた龍くんがいきなり明るくなってさ」
凜々花にそこまでしっかり見られているとは思わなかった。
ここまで僕の事をしっかり見てくれているのは乃彩と姉さんくらいだったのに、こうまで変化を見られていると恥かしくなる。
でも、不思議と嫌ではないしなんなら少し嬉しい。
「凜々花のおかげかもな」
「うち? なんで?」
心底わからないと言った様子で首を傾げているけど、その仕草がまた可愛い。
太陽を反射してキラキラと輝く金髪と凄く綺麗で、澄んだ湖のような青い瞳。
僕より少し身長が低い彼女はとても美しい。
一種の芸術品のように見える。
だけど、触れることは叶わない。
彼女に心を奪われてしまったら一巻の終わりだ。
僕はえぐい振り方をされて撃沈。
立ち直れなくなる。
「凜々花のアドバイスのおかげで僕は変わろうって思えたからな」
彼女の言葉が無かったら僕はお墓参りに行こうとは思わなかっただろう。
だから、僕がこうして変われたのは凜々花のおかげだ。
「そんなに大層なアドバイスとかしたっけな?」
「案外自分ではアドバイスとは思ってないかもしれないぞ?」
「ん~そう言うもんなのかな。でも、うちの行動で龍くんが前向きな方向に変われたのなら嬉しいな! にへへ」
太陽が咲き誇ったかのような笑顔を僕に向けてくる。
これは良くない。
こんな表情をまじかで見続けたら、好きになってしまうかもしれない。
今すぐに……というのは違うかもしれないが、このまま彼女の近くにいて好きにならない自信は僕には無かった。
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