④
自室へと入り、まずエアコンの暖房を入れる。部屋があたたまるまでは時間がかかるので、さっそく作業をして体を動かすことにする。
押し入れを開くと沢山の段ボールが詰め込まれており、その側面にはマジックペンで中に何が入っているかが記されている。母の字だ。
"図工・小学校"、"作文&テスト・中学校"、"成績表・高校"という具合なのだが、こんなの確実にゴミだ。
次々と押し入れから段ボールを取り出していると、"服"と書かれたもの見つける。床におろしてあけてみると、中には小、中学生の頃に着ていた私服が入っていた。
「うわっ、懐かしい」
どれも目立った汚れや虫食いなどなく、綺麗なままだ。将来結婚して、男の子どもができたら着させてやれるかもしれない──などと考えたが、俺は彼女にフラれたばかりだったこと思い出す。
なんだかとても虚しくなったのでこの服も捨ててしまおうと決意した。すると、段ボールの一番下に青色のコートがあったのだが……こんなコート持っていただろうか?
コートを手に取りまじまじと眺めてみるも、覚えがあるようなないようなデザインだ。
ふとポケットが目について、何気なくその中へ手を突っ込むと指先に何かが触れた。引っ張りだすと、それは折りたたまれた紙だった。
何だろうと思い広げると、それはプリンセス柄のピンク色の便箋だったのだが──俺はそこに書かれていることに戦慄した。
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