第3話「国の約束と裏切り」
「頑張れば報われる」──その言葉は希望にもなれば、重荷にもなる。
本作は教室という小さな舞台で、憲法の言葉と現実の政策がどのように噛み合わないかを問い直す試みだ。
論理的な視点と現場の声を交互に配置し、読者が自分の暮らしと制度の関係を見つめ直せるように設計している。
まずは第1〜3話で提示された問いを手掛かりに、あなた自身の「主権者としての判断」を育ててほしい。
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『努力の国の裏側──「報われる社会」の正体を君は知らない』
### プロローグ:葵の夜
SNSに投稿してから三日。
葵のスマートフォンには、今も通知が届き続けている。
いいねが500を超え、リツイートも300近くになった。
見ず知らずの人たちから、メッセージが届く。
「同じこと感じてた」
「親が介護してるけど、本当に大変そう」
「もっと詳しく知りたい。何か参考になる本とかありますか?」
葵は、自分の部屋で教科書を開いていた。
公民の教科書。
そこには、日本国憲法の条文が載っている。
葵は、ページをめくった。
日本国憲法 前文
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」
「……主権が国民に存する」
葵は、その言葉を声に出して読んだ。
主権者。
国民が、この国の主人公。
でも──
「私たち、本当に主権者なの?」
葵の胸の中に、新しい疑問が芽生えていた。
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### 放課後の教室
一週間後の放課後。
いつものメンバーが、教室に集まっていた。
葵、怜、遥、健太、そして隼人。
天野先生も、いつものように穏やかな笑顔で椅子に座っている。
怜が、新しい資料を持ってきていた。
「先生、また調べたことがあるんです」
怜は、ノートパソコンを開いた。
「前回、憲法には『全ての国民の福利』って書いてあるって話になりましたよね」
怜の画面には、憲法の条文と、政治家の発言記録が並んでいた。
「でも、実際の政策は、それと真逆のことをしてる」
怜の声が、震える。
「これって、国民への裏切りじゃないんですか?」
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### 国民の厳粛な信託
天野先生は、静かに頷いた。
「怜くん、いい疑問だ。今日は、その『裏切り』について、一緒に考えてみよう」
先生は、黒板に向かった。
そして、憲法前文の一節を書いた。
「国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」
先生は、チョークを置いた。
「この文章が、日本国憲法の核心だ」
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葵が、手を挙げる。
「先生、『国民の厳粛な信託』って、どういう意味ですか?」
天野先生は、微笑んだ。
「いい質問だ。これは、『国民が政治家に権力を預けている』という意味なんだ」
先生は、黒板に図を描き始めた。
まず、大きな円を描き、「国民」と書く。
その上に、小さな円を描き、「政治家」と書く。
そして、矢印を「国民」から「政治家」へ向けて描く。
「国民は、選挙を通じて、政治家に権力を『預ける』。これが『信託』だ」
先生は、矢印に「権力」と書く。
「でも、この権力は、『好きに使っていい』ものじゃない」
先生は、「政治家」から「国民」へ、別の矢印を描いた。
そこに、「福利」と書く。
「政治家は、預かった権力を使って、『全ての国民の福利』を実現しなければならない。これが、『信託』の条件だ」
先生は、少し考えてから付け加えた。
「ただ、正直に言うと、先生も全ての答えを知っているわけじゃない。現実の政治は複雑で、何が本当に『全ての国民の福利』なのか、時には判断が難しいこともある」
先生の声が、少し柔らかくなる。
「だから、今日は一緒に考えたい。君たちの視点が、先生にも新しい気づきを与えてくれるかもしれない」
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健太が、拳を握りしめる。
「じゃあ、もし政治家が『全ての国民の福利』じゃなくて、一部の人だけを優遇したら……」
「それは、信託の裏切りだ」
天野先生は、はっきりと言った。
「憲法は、政治家に権力を与える代わりに、『全ての国民のために働け』という条件を課している」
「もし、その条件を破ったら──」
先生は、黒板の矢印に×印をつけた。
「それは、国民への背信行為になる」
葵が、不安そうに言った。
「でも、先生。もし裏切られたら、私たちはどうすればいいんですか?」
天野先生は、葵を見た。
「いい質問だ、葵。国民には、信託を取り戻す方法がある」
先生は、黒板に新しい言葉を書いた。
選挙で審判を下す
世論で圧力をかける
司法に訴える
「選挙で、約束を守らない政治家を落選させる。メディアやSNSで声を上げ、世論を動かす。場合によっては、憲法違反だと裁判所に訴える」
先生の声が、力強くなる。
「これらは全て、主権者である君たちの権利だ」
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### 裏切りの具体例
怜が、画面を切り替えた。
「先生、具体例があるんです」
怜の画面には、政治家の発言と、実際の政策が並んでいた。
「例えば、『頑張った人が報われる社会』って言ってる政治家がいる。でも、実際にやってることは、社会保障の削減と、富裕層への優遇なんです」
怜は、具体的なデータを示す。
「法人税は、1989年には40%だったのが、今は23.2%まで下がってる。一方で、消費税は0%から10%に上がった」
怜の声が、怒りを帯びる。
「法人税を下げるのは、『企業が海外に逃げないため』って説明されてる。でも、その分の税収を、なんで消費税で補うんですか」
「消費税は、低所得者ほど負担が重い。これって、『全ての国民の福利』なんですか?」
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隼人が、複雑な表情で言った。
「でも、怜。企業が儲かれば、経済が成長して、みんなの給料も上がるんじゃないのか?」
「それは、『トリクルダウン』理論だね」
天野先生が、割って入った。
「企業や富裕層を優遇すれば、その富が徐々に下の層にも滴り落ちるという考え方だ」
先生は、黒板に新しい図を描いた。
ピラミッド型の図。上に「富裕層・大企業」、下に「一般国民」と書く。
「でも、この理論には、大きな問題がある」
先生は、ピラミッドの上に富を示す記号を描き、下へ矢印を伸ばす。
しかし、その矢印は、途中で止まっている。
「実際には、富は滴り落ちない」
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怜が、画面を見せる。
「これ、OECDの2022年調査なんですけど、日本の相対的貧困率は15.7%。先進国の中でも高い方です」
「企業の内部留保は、500兆円を超えてる。でも、労働者の実質賃金は、1997年から下がり続けてる」
怜の目には、涙が浮かんでいた。
「トリクルダウンなんて、嘘だったんじゃないですか」
「富裕層と企業を優遇しても、その富は一般国民には届かない」
「じゃあ、誰のための政策なんですか」
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天野先生は、静かに頷いた。
「怜くんの指摘は、正しい」
先生は、黒板のピラミッドを指差す。
「トリクルダウンが機能しない理由は、富が『上』に蓄積されるだけで、『下』に流れないからだ」
「企業は、利益を株主配当や内部留保に回し、労働者の賃金には回さない」
「富裕層は、金融資産に投資し、その利益は20%しか課税されない」
先生の声が、少し低くなる。
「つまり、『市場の論理』だけに任せていては、富の再分配は起きない」
「だからこそ、政治が介入し、『全ての国民の福利』を実現するための政策を取らなければならない」
「それが、憲法が求める政治の役割なんだ」
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### なぜ不公平が放置されるのか
遥が、小さく声を上げた。
「先生、でも、どうしてそんな不公平な税制が、ずっと続いてるんですか?」
遥の声には、諦めに似た響きがあった。
「誰も、おかしいって思わないんですか?」
天野先生は、少し考えてから答えた。
「遥さん、実は多くの人が『おかしい』と思ってる。でも、変わらない」
先生は、黒板に新しい言葉を書いた。
政治献金・ロビー活動
「政治を動かすには、お金と力が必要になることが多い」
先生は、生徒たちを見渡した。
「大企業や富裕層は、政治家に献金をし、自分たちに有利な政策を求める。これが、ロビー活動だ」
先生は、少し言葉を選ぶ。
「ただ、これは単純な『悪』ではない。企業や業界が自分たちの意見を政治に伝えるのは、民主主義の一部でもある。問題は、その声の大きさが『お金』によって決まってしまうことなんだ」
「一般国民には、企業のような組織的な力も、献金できるほどのお金もない」
先生の声が、重くなる。
「だから、政治は、お金を持っている人たちの声を聞きやすくなる」
「これが、不公平が放置される理由の一つだ」
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健太が、怒りを抑えた声で言った。
「それって、おかしいだろ!」
健太は、立ち上がった。
「憲法には『国民主権』って書いてあるんだろ。なのに、お金持ちの声ばっかり聞くなんて、それって民主主義じゃないじゃないか」
天野先生は、健太を見た。
「その通りだ、健太くん」
先生の目には、強い光があった。
「これは、『形式的な民主主義』と『実質的な民主主義』の違いなんだ」
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### 形式と実質
天野先生は、黒板に二つの言葉を書いた。
形式的民主主義:投票の権利がある
実質的民主主義:声が政治に届く
「日本には、選挙がある。誰でも投票できる。これは、『形式的な民主主義』だ」
「でも、投票したからといって、自分の声が政治に届くとは限らない」
先生は、「実質的民主主義」の方を強く叩いた。
「本当の民主主義とは、『全ての国民の声が、平等に政治に届く』ことだ」
「でも、現実には、お金や権力を持っている人の声の方が、大きく届く」
「これが、『民主主義の危機』なんだ」
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葵が、震える声で言った。
「じゃあ、私たちの声は……届かないんですか」
葵の目には、不安と諦めが混じっていた。
天野先生は、優しく首を横に振った。
「いや、届く」
先生の声は、力強い。
「ただし、一人の声は小さい。でも、たくさんの声が集まれば、必ず届く」
先生は、黒板に新しい図を描いた。
たくさんの小さな円を描き、それらが集まって大きな円になる様子を描く。
「一人ひとりの声は小さくても、それが集まれば、大きな力になる」
「SNSで発信する、友達と話し合う、デモに参加する、選挙で投票する」
「そうした小さな行動の積み重ねが、社会を変える力になるんだ」
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### 真の効率性とは
隼人が、ゆっくりと手を挙げた。
「先生、一つ質問があります」
隼人の声は、真剣だった。
「前回、『市場の論理』が効率を優先して、弱者を切り捨てるって話になりました」
「でも、効率って、本当に悪いことなんですか?」
隼人は、葵たちを見た。
「俺、ずっと考えてたんです。効率的に社会を動かすことは、必要なんじゃないかって」
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天野先生は、興味深そうに頷いた。
「いい質問だ、隼人くん」
先生は、黒板に新しい言葉を書いた。
真の効率性とは何か
「効率そのものは、悪じゃない。むしろ、必要だ」
先生は、生徒たちを見渡した。
「でも、『何のための効率か』が問題なんだ」
先生は、黒板に二つの定義を書いた。
市場的効率:短期的な利益の最大化
社会的効率:全ての人の能力を活かす持続可能性
「市場の論理における効率は、『短期的な利益を最大化すること』を意味する」
「でも、それは、長期的には社会を弱くする」
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先生は、具体例を示した。
「例えば、介護職の給料を抑えれば、短期的にはコストが下がる。これは、市場的には『効率的』だ」
「でも、その結果、介護職のなり手がいなくなり、高齢者が適切な介護を受けられなくなる。社会全体が困る」
先生は、もう一つの例を出す。
「運送業のドライバーの労働環境を悪化させれば、短期的には物流コストが下がる。でも、ドライバーが辞めていき、物流が機能しなくなれば、経済全体が止まってしまう」
「これは、長期的には『非効率』なんだ」
先生は、「社会的効率」の方を指差した。
「真の効率性とは、『全ての人の能力を最大限に活かし、社会を持続可能にすること』だ」
「介護職の給料を上げ、働きやすい環境を作れば、優秀な人材が集まる」
「その結果、介護の質が上がり、高齢者も幸せになり、社会全体が豊かになる」
「これが、本当の効率だ」
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隼人は、深く頷いた。
「わかりました。効率って、『誰のための効率か』が大事なんですね」
「市場だけのための効率じゃなくて、社会全体のための効率」
天野先生は、微笑んだ。
「その通りだ」
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### 国民主権の自覚
葵が、ゆっくりと立ち上がった。
「先生、もう一つ質問があります」
葵の声は、いつもより少し強い。
「さっき、『一人ひとりの声が集まれば、社会を変えられる』って言いました」
葵は、教室を見渡した。
「でも、私たち、まだ選挙権もない高校生です」
葵の目には、強い光があった。
「それでも、私たちにできることって、ありますか?」
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天野先生は、葵をまっすぐ見た。
「あるよ、葵」
先生は、黒板に新しい言葉を書いた。
主権者教育
「君たちは、まだ選挙権がない。でも、もうすぐ18歳になれば、投票できる」
「そのときに、『何に投票すればいいのか』を判断できる力を、今から育てることが大事なんだ」
先生は、生徒たちを見渡した。
「今、君たちがやっていること──社会の仕組みを学び、疑問を持ち、議論する」
「これが、主権者教育だ」
先生は、少し柔らかい声で続けた。
「先生も、君たちと一緒に学んでいる。君たちの疑問や発見が、先生にも新しい視点を与えてくれる」
「だから、これは『教える・教えられる』じゃなくて、『一緒に探す』過程なんだ」
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怜が、画面を見せる。
「俺、もっと調べて、SNSで発信し続けます」
遥も、頷く。
「私も。家族や友達に、この話をもっと広めたい」
健太が、力強く言った。
「俺は、親父に話す。親父、ずっと『自分が悪い』って思ってたけど、違うって教えてやる」
隼人も、決意を込めて言った。
「俺も、友達に話してみる。今まで、政治のことなんて考えたことなかったけど……これからは違う」
隼人は、少し言葉を選んでから続けた。
「でも、正直、不安もある。声を上げても、本当に変わるのかって」
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### エピローグ:変わり始める風景
その夜。
葵は、自宅でスマートフォンを開いていた。
SNSのタイムラインには、いつもと同じような投稿が流れている。
葵は、投稿ボタンをタップした。
そして、ゆっくりと文字を打ち込む。
「今日、授業で憲法を読んだ。
『主権が国民に存する』って、本当はものすごい言葉なんだって気づいた。
私たち、この国の主人公なんだ。
政治が『全ての国民の福利』を実現してないなら、それを変えるのは、私たちの権利で、責任でもある。
だから、声を上げ続ける。」
葵は、深呼吸をして、投稿ボタンを押した。
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数分後。
通知が、次々と表示される。
「その通り。私たちが声を上げなきゃ」
「一緒に頑張ろう」
「次の選挙、ちゃんと考えて投票する」
「選挙以外にも、地域の集会に参加してみようと思う」
葵の画面には、見知らぬ人たちからのメッセージが並ぶ。
でも、もう見知らぬ人じゃない。
同じように感じている、仲間だ。
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葵は、窓の外を見た。
夜空に、星が輝いている。
一つひとつは小さな光だけど、集まれば、夜空を照らす。
私たちも、そうなれる。
葵は、小さく笑った。
「変えられる。きっと」
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### 次回予告:第4話「声をあげるか、沈黙するか」
翌週の授業。
教室に、緊張した空気が流れていた。
葵のSNS投稿が、学校中で話題になっていた。
「葵、ちょっと目立ちすぎじゃない?」
クラスメイトの一人が、心配そうに言った。
「先生や親に怒られたりしないの?」
葵は、少し不安そうに天野先生を見た。
先生は、穏やかに笑った。
「次回は、『声を上げること』のリスクと、それでも声を上げる意味について、一緒に考えてみよう」
健太が、強く言った。
「俺は、黙ってられない。声を上げ続ける」
でも、隼人は複雑な表情だった。
「でも、声を上げても変わらなかったら……それって、ただの自己満足じゃないのか」
天野先生は、静かに言った。
「声を上げる意味は、結果だけじゃないんだ。その行動そのものが、主権者としての尊厳を証明することになる」
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──声を上げることは、勇気なのか、無謀なのか?
──沈黙することは、賢明なのか、臆病なのか?
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次回、第4話「声をあげるか、沈黙するか」
最終話。生徒たちは、それぞれの答えを見つける。
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## 作者より
第3話では、「国民主権」の本当の意味を描きました。
憲法は、単なる理想ではありません。
私たち国民への「約束」であり、同時に「武器」でもあります。
政治が「全ての国民の福利」を実現していないとき、
それを変える権利と責任は、私たち主権者にあります。
でも、それは簡単な道ではありません。
次回、最終話では、その葛藤と決意を描きます。
あなたも、この国の主人公です。
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読んでくれてありがとう。
この物語は結論を押し付けるためのものではなく、問いを共有するためのものだ。
憲法が約束する「全ての国民の福利」と現実の政策のずれを前に、無力感を抱くことは自然だ。
だが、小さな声が広がり、行動が積み重なれば、制度は変わり得る。
本作がそのきっかけになれば嬉しい。
次回は「声を上げること」のリスクと意味について一緒に考えます。
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