アストラリス:星生まれの試練
星雪灯
「アストラリス州立魔法学院への招待」
プロローグ
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宇宙の広大な広がりの中で、無数の星々が永遠の光の破片のように輝いていた。惑星、銀河、そして星雲が、絶え間ない宇宙の舞踏の中で回転している。そのすべての中で、一つの青い世界が生命の家として存在していた:地球。
2050年。
人類文明が限界を超えた時代。人間の思考にほぼ匹敵するAI、稲妻のように高速で走る交通網、瞬時にすべてを結びつけるソーシャルネットワーク。世界は非常に進歩しており、打ち破れないかのように見えた。
しかし、ある日、誰も予想しなかった災害がやってきた。
すべてが崩壊した。惑星、生命、そして星々までもが虚無の中に消え去った。世界はこれを「終末」と呼んだ。
人間の魂は肉体から分離され、天国…あるいは地獄へとアストラルの旅を始めた。
だが、その確実な運命の中で、異常な出来事が起こった。
選ばれた一部の人間は、天の門に到達しなかった。天国にも地獄にも呑まれず、アストラル体は強制的に引き寄せられ、見知らぬ世界――誰も知らない異世界――に投げ込まれた。
彼らは広大な校庭で目を覚ました。
そびえ立つ荘厳な建物は、巨大な学校のようであり、異世界のオーラと優雅さを放っていた。何百人もの人々が戸惑いながら周囲を見渡していた。
「ここは…どこ?」
「なんでこんなに人がいるの?」
「異世界…かな?」
「お母さん!私、ここにいるべきじゃないの!」
「イセカイ…面白いな。」
その声が空気を満たす。パニック、恐怖、困惑、そして一部の人々の異常な興奮からくる笑いが混ざっていた。
すると、足音が聞こえた。ゆっくりだが力強く、その音は騒ぎを止めた。
前方から、一人の女性が現れた。髪はきちんとまとめられ、青紫色の長袖トップスとタイトなロングスカートを身に着け、胸元には輝く星形のブローチをつけている。その存在感は圧倒的で、まるでこの人間たちの到来を最初から待っていたかのようだった。
彼女は大きな声で言った。
「皆さん、ここでお会いできて嬉しいです。それでは、時間を無駄にせず、私についてきてください!」
人々は互いに目を合わせ、困惑したが、他に選択肢はなかった。ゆっくりと彼女の後に続いた。
彼女は彼らを大きな講堂へと導いた。講堂は巨大な透明ドームの天井を持っていた。
女性の手が大きな扉を押す。ゆっくりと扉が開き、壮麗で広大な空間が現れる。
壁にはアストラランドの起源、アストラリス創設者、そしてかつての宇宙戦争の巨大な壁画が描かれていた。床は暗い大理石で、金色の星の渦巻き模様がゆっくり回っている。
整然と並んだ椅子があり、前方には大きなステージがあり、何か神秘的なものを覆う大きなカーテンが掛かっていた。
「皆さん、慎重に中へお入りください。」
人々は緊張と驚嘆の入り混じった表情で足を踏み入れた。
「全員、自分の名前の書かれた席にお座りください。」
指示通りに座る。
椅子は二つの列に分かれていた:右が男性、左が女性。長い通路が講堂を二分し、視線はまっすぐステージへと誘導される。五百以上の席があり、すべて埋まった。
静寂の後、女性は前に立ち話し始めた。
「さて、皆さんが揃ったので、長々とは言いません…。
アストラランドの世界へようこそ、ここに星々が宿る世界…選ばれし人間たちよ。
私はここで暫定指導者として、皆さんに重要な情報を伝えます。
皆さんはこの世界に入ることができる特別な人間であり、アストラリス州立――この魔法学校の正式な学生となります。目的は一つです!」
その言葉に講堂が揺れた。ささやき声が広がる。
「え、私たちが選ばれたの?!」
「どういう意味?」
「怖い…」
喜んで笑う者もいた。
「わあ、私、特別な人間だって!ハハハ!!」
ある人が勇気を出して立ち上がった。
「どういうことですか?私たちの目的は…何ですか?」
女性は薄く微笑む。声はさらに力強くなり、静寂をもたらす。
「皆さんはここで…主人公としての教育を受けます。魔法、歴史、この世界のさまざまな知識を学ぶのです。そして全てを修めた暁には、それぞれの異世界へ送り出され、真の運命を生きることになります。しかし…もし卒業できなければ…」
彼女は鋭く見つめ、声を低く落とし、心に刺さるように言った。
「申し訳ありません…皆さんはこの世界に取り残されます。永遠に。」
その瞬間、講堂は悲鳴と歓声に包まれた。
「うわあああ!!!」
「主人公になるって何だよ…?」
「永遠にここに閉じ込められたくない!!」
「俺の世界があるんだ!!俺がMCだ!!かっこいい!!」
だが女性は動じず、続けた。
「さて、ここまでの情報です。まだ混乱しているなら、各自の席にある小さな星のクリスタルに触れてください。クリスタルが光れば、呼び出しが完了した合図です。理解したら、校内を自由に見学してください。」
彼女は優雅に振り返り、講堂を後にした。
一瞬の静寂。やがて講堂は再び騒がしくなった。恐怖で叫ぶ者、喜びで叫ぶ者、さらに混乱する者、奇妙で少し恐ろしいことを話す者もいた。
「ふぅ…主人公になるのか。かっこいいけど、俺の知ってる物語じゃ、主人公は必ずしもハッピーエンドじゃない…命を落とす奴もいる…」
「シッ!余計なこと言うな!本当にそうなるかもしれないだろ!」
その騒ぎの中、ひとりの小さな少女が中央の通路からゆっくり歩いてきた。
迷子のようで、目は恐怖に満ちていた。
「なんでこんなに騒がしいの…怖い…ここを出るべき?それともここにいるべき?」
手で顔を覆い、かすかに泣く。
「お父さん…お母さん…お兄ちゃん…私、どこ!怖いよ!」
その泣き声は講堂の喧騒にかき消されそうだったが、柔らかな声が近づく。
「ねえ、小さな子!」
少女は驚き、目を大きく開いた。
前には背の高い少女が立っていた。長い金髪をきちんと結び、青紫色のアストラリス制服に星形のネクタイを着けている。
だが最も印象的なのは彼女の目だった。
光るウォーターメロンピンクの瞳、右目には雪の結晶の金白色の紋章があり、まるで星そのものが宿っているかのようだった。
少女は薄く微笑み、静かに尋ねた。
「大丈夫…?」
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