レコーディング③

どえらい空気になってしまった。

それもこれも、僕が3人からの好意にハッキリとした答えを出していないからだ。


それはそうなのだが、とにかく居心地が悪い!

今、ここで答えを出せる様なことでもないし…どうにかしなければ


そう思い、脳をフル回転させていた僕に、マキちゃんが鋭い視線を向けてきた。


「ビジンさん!」


「は、はい!」


「部外者の私が首を突っ込むのもアレですが!ビジンさんは本当にお三方の事を真面目に考えていますか!」


「そ、それはもちろん!3人とも大事な存在であることは間違いないです!!」


恥ずかしい。

3人の方を見れない。


「そうですか…ビジンさんも真剣なのですね…」


分かってくれた…だろうか?


「誰がリードしてるのですか!?」


面白がってない…?


とにかく、マキちゃんのジャーナリスト魂に火が付いてしまった。

マキちゃんはジャーナリストではないが。


「いや、リードとかそういうのは…」


「そうなんですか!?じゃあ3人とも横並びだと?」


「いや、横並びとかそういうわけでは…」


「ではやはり!?特に気になっている相手が…モゴッ!?」


ほのちゃんの手がマキちゃんの口をふさいだ。

そしていつもより少しだけ大きい声でほのちゃんは言った。


「マキ…先輩をイジメないで…」


ほ、ほのちゃん…助かった…

マキちゃんは少し冷静さを取り戻したようだ…


「す、すみません…つい…」


「い、いや、こちらこそ…ハッキリと答えられず申し訳ない…まだ、少し時間が必要なんだ…」


「そういうことなのよ、マキちゃん」


菜奈さんが困り顔でまとめてくれた。


「でも、誰がリードしてるかは気になるな~!」


あっちゃんがまた話を戻す。

すると、再びほのちゃんが僕を守ってくれる。


「あっちゃんさんまで…ダメですよ…先輩は時間が必要って…」


「でも、ほのちゃんも気にならない?自分が1番だったら嬉しくない?」


「い、いや…その…嬉しい…ですけど…」


ほのちゃんの声はどんどん小さくなっていった。

マキちゃんが追い打ちをかける。


「やっぱりほの…そんなにビジンさんのこと…」


ほのちゃんは急に立ち上がった。


「お、お手洗いに…!」


スタスタと立ち去ってしまった。


「ちょっとからかいすぎちゃった…!」


あっちゃんは舌を出し、反省している…のか?


飲み会は続く…のか…

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